岩手県立大学は、組み込みソフトウェアの分野で産官学連携を強化する。今年4月に「組み込み技術研究所」(仮称)を新設する予定で、技術的な支援や人材育成面で県内IT企業を強力にバックアップしていく。岩手県では今後の伸びが期待されているこの分野で実績のある企業が少ないのが課題となっていた。県立大学では岩手県や県内IT企業などとの連携を進めることで、県内の組み込みソフト事業の拡大に貢献する。

 カーナビゲーションシステム(カーナビ)や携帯電話、デジタル家電などの開発で需要が高まっている組み込みソフトウェアだが、ハードウェアへの依存や制約が多いなど、開発には通常の業務アプリケーションとは異なる独特のノウハウの習得が欠かせない。

 岩手県のSIerや独立系ソフト開発ベンダー(ISV)は、業務用アプリケーションソフトの開発では多くの実績があるものの、組み込みソフトの分野では「ほとんどゼロからのスタートに近い」(ソフトウェア情報学部教授の船生豊・研究・地域連携本部長)状況に置かれている。

 岩手県には、トヨタ自動車系列の関東自動車工業岩手工場などがあり、組み込みソフトを必要とする産業の集積が進んでいる。

 こうした潜在的な需要を掘り起こしていくために、岩手県立大学をはじめとする産官学の連携を強化することで、成長が見込まれる組み込みソフト関連産業の立ち上げに取り組む。

 岩手県立大学では今後3年間程度で県内の組み込みソフト関連の事業規模は年間100億円規模に成長する潜在力があると予測しており、県内IT企業の成長にとって大きなプラス要因になると見ている。

 今年4月に新設する予定の「組み込み技術研究所」(仮称)では、組み込みソフトのアーキテクチャや開発手法の研究などを手がける。昨年8月に期間限定で県内IT企業や学生などを対象にした「組み込みソフトものづくり塾」を開講するなど人材育成に努めてきた。

 来年度はこうした組み込みソフト関連の技術支援や人材育成などをさらに充実させていく方針。岩手県でも、来年度約1200万円の予算を計上し、組み込みソフトの受注拡大に向けた支援策を打ち出す方向で準備を進めており、産官学一体となって組み込みソフト事業の育成、拡大を推進していく方針だ。

 大手製造メーカーなどからすぐに受注を獲得するのは、技術やノウハウの面から難しいとみられるが、当面は首都圏の有力なソフト開発会社などを通じて徐々に受注量を増やし、県内IT企業における組み込みソフト開発のノウハウの蓄積を進めていく考え。