マイクロソフト(ダレン・ヒューストン社長)は、地域の産業振興を促す活動として、ITサービス関連の事業創出を目的に地場のベンチャーとIT企業の支援を強化している。一昨年からは、同社の公共インダストリー統括本部が兼務で、岐阜県や北海道の自治体や協会団体と協業して、複数のISV(独立系ソフトウェアベンダー)に対するソフトの無償提供や技術支援などを実施してきた。昨年末には専属担当者を置いて「ビジネスインキュベーション推進部」を新設。地場に根づいた支援を可能にする地域別の製品検証ラボやトレーニングセンターなどを、自治体と協力して設置していく。引き続き、ベンチャーとIT企業の支援強化をすすめていく方針だ。

 同社は2004年から、社会貢献の一環として自治体と協力したベンチャー支援の「インキュベーションプログラム」を開始した。これまでに岐阜県、北海道、千葉県の3自治体や日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)と共同で採択したISV19社に対し、新製品開発に必要なマイクロソフト製品の無償提供やグレープシティと連携した技術支援、共同マーケティングなどを実施してきた。

 今年度(2006年6月期)は、この4団体に加え、埼玉県と神奈川県が採択した15社を認定し、同様の支援を開始した。認定ISVに対して3年間支援する。「素質を持ったベンチャー企業やIT人材は、地域に豊富に存在する。だが、資金や技術力が不足しているケースがある」(長井伸明・デベロッパー&プラットフォーム統括本部ビジネスインキュベーション推進部部長)と、新製品や新産業の創出に向けた支援を継続的に行う。

 今年度からは、ソフト製品を開発するベンチャー企業向けに最新のテスト環境である「.NETセンター(仮称)」や、ITスキル標準(ITSS)に準拠した「ITアーキテクト」「ITスペシャリスト」を育成する「トレーニングセンター」などを自治体と共同で設立する。

 「.NETセンター」では、サーバー製品や検証機器を設置するほか、ソフト開発ツール「ビジュアル・スタジオ」などを貸し出す。また、「トレーニングセンター」では、最新のアーキテクチャを利用したシステム開発に必要なトレーニングを実施するほか、人材派遣会社と協業して雇用先を確保したうえで、IT人材を育成することも検討していく。

 長井部長は「各センターは、全国主要都市に配置したい。わざわざ東京に出向かなくても、最新のソフト開発環境を使えるように条件を整備する」とベンチャーなどの支援を全国展開する。