中国での第三世代携帯電話(3G)の早期普及に日系ソフト開発ベンダーの期待が高まっている。現行の携帯電話では日系メーカーが相次いで中国市場から撤退・縮小を余儀なくされ、日系メーカーから組み込みソフト開発や動作検証の業務を請け負ってきた中国の日系ソフト開発ベンダーは苦しい舵取りを迫られてきた。3Gに移行すれば、組み込みソフト自体の開発規模が大きくなるとともに、これまで3Gの開発に力を入れてきた日系メーカーの再挑戦に伴う需要拡大の可能性もある。

 組み込みソフト開発を得意とするソフト開発ベンダーにとって、中国の3G普及は絶好のビジネスチャンスになる。だが、中国政府が独自の3G規格の策定に取り組んでいることなどが影響して普及が遅れており、ベンダーはいらだちを隠せない。

 組み込みソフト開発を得意とするコアの中国現地法人の北京コアは、「ここ1-2年、3Gへの移行の話はあるのだが、まだ明確な普及時期は見えてこない」(馬聡総経理)と、市場拡大のタイミングがいつなのか、つかみきれていない模様だ。

 組み込みソフトや専用ソフト開発、機能評価検証のビジネスが売り上げの中心を占める北京コアは、これまで人件費の安さを武器に主に日本からのオフショア開発の受託で業績を伸ばしてきた。一方で、将来有望な中国市場向けの携帯電話やカーナビなどに向けた組み込みソフトや機能評価ビジネスへの進出も視野に入れていることから、中国3Gの動向はインパクトが大きい。

 組み込みソフト開発を得意とする日系のソフトベンダーは、日本のハードベンダーからの受注がメインを占めるケースが多い。ソフト開発のシステックスの中国現地法人の北京システックスは、「日本の3G端末は技術的にも優れているので期待している。第2世代のように価格競争で負けてほしくない」(胡平非・常務副総経理)と、ビジネスチャンスをうかがう。

 もし、3Gで日系携帯電話ベンダーが再び劣勢になった場合、中国の日系組み込みソフト開発ベンダーは外国メーカーなど新規顧客を開拓せざるを得ないことも考えられる。

 中国でのオフショア開発競争は激しさを増しており、付加価値が少ない一般業務ソフトの下流工程の仕事の一部では「価格のたたき合い」(ソフト開発関係者)になっているという。自社の強みを発揮しやすい組み込みで何とかシェアを伸ばしたいのが本音だ。

 2005年の中国国内市場での携帯電話の販売総量は8500万台余り。加入者総数は3.5億人ともいわれる世界最大の市場であるだけに、世界の組み込みソフトベンダーの主戦場になりつつある。