【上海発】昨年12月、オークションサイト大手のeBayとTOMオンラインの両社は上海で合弁会社を作ることを発表した。eBayの中国現地法人「eBay易趣」の最も大きな取引オンラインコミュニティと「TOMオンライン」のローカルオペレーションのノウハウ、7500万人のモバイルユーザーというそれぞれの優位性を結合させ、2007年中を目処に、中国市場にカスタマイズしたオンライン取引プラットフォームを打ち出す計画だ。

 合弁会社の株は、「eBay」と「TOMオンライン」がそれぞれ49%、51%を持つようになる。また、eBayは4000万ドルを追加投入し、TOMオンラインは2000万ドルの資金提供を保証する。なお、eBayは、現地法人「eBay易趣」のC2Cビジネスユニットを新会社「TOM易趣」に注入し、TOMオンラインはローカルマネージメントのノウハウ、技術やブランドを供出する。

 eBay易趣のその他業務は現CEO廖光宇氏の経営でそのまま続行し、TOM易趣にeBayによるマネジメントノウハウを提供するほか、eBayのグローバル貿易の普及とその他業務展開までを行う。eBay中国研究開発センターは、ヤフーアジア元CTO、現総経理李大力氏のリードで、規模を拡大しつつ、グローバルな製品開発へ協力していく。TOMオンラインはeBayとSkypeにおいて協力プロジェクトの実績があり、これが今回の合弁のきっかけになったといわれている。

 昨年6月までに、中国のインターネットユーザーは前年比19%増の1億2300万人に達し、携帯電話ユーザーは4億人を超えた。市場が絶好調とはいえ、競争も激しい。かつて日本で失敗したeBayは中国市場を狙い始め、02年3月と03年6月に2度に分けて、合計1.8億ドルで当時のローカルオークションサイト大手「易趣」の株式を100%取得した。買収後、eBay易趣は1億ドルの予算で販促を強化していたが、対応が遅い、管理体制が硬直しているという理由で、B2B大手サイト・アリババの傘下企業「淘宝網」(無料でサービス提供)にユーザーを奪われ、黒字化の目途がなかなか見えてこない。

 提携先のTOMオンラインとTOMグループはアジア一の億万長者・李嘉誠グループのメンバー企業で、中国市場と非常に強いコネクションを持っているという。当初は広告収入が期待通りにならなかったが、後に携帯電話ユーザーに目をつけた事業転換が成功し、04年に香港とナスダックに上場した。今回の取引はTOM一辺倒のように見えるが、eBayの立場からすれば経営難に直面し、わらにもすがる気持ちだろう。外資企業として中国市場で一定の地歩を固めるためには、TOMオンラインの強いバックアップを得ることが何よりの特効薬だと思える。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所所長、shanghai@accsjp.or.jp)