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ソフトピアジャパン 組み込み産業を育成 開発環境の整備に乗り出す

2007/10/08 22:22

週刊BCN 2007年10月08日vol.1206掲載

 IT産業の育成・振興機関のソフトピアジャパン(熊坂賢次理事長、岐阜県)は、組み込みソフト産業の育成に力を入れる。東海地区全体でみれば自動車を中心とする組み込みソフト需要が急拡大しているものの、ソフトピアジャパンの地元・岐阜県での立ち上がりはまだこれからだ。組み込みソフトの研究会や基盤ソフトの開発に取り組むことで「地場の組み込み産業の育成」(後藤三郎・専務理事)を推進する。

 ここ2年余り、組み込みソフト関連の「組込みハード&ソフト研究会」を月1回のペースで開催。土曜日の開催にもかかわらず、組み込みソフトに関連する産官学のキーマン約30人が集まる。時間をずらして「ロボットテクノロジー研究会」も開催していることから、両会ともに顔を出す人も少なくない。岐阜県のみならず、愛知県など隣県からも集まっており、会を通じたビジネスマッチングにも役立っている。

 今年度からは3か年の計画で、組み込みソフトの開発基盤の整備に地元企業などと連携して乗り出した。ハードウェア環境を忠実に再現した仮想環境をつくり、実機の完成を待たずとも、組み込みソフトの高度な開発環境の実現を目指す。経済産業省の公募事業を活用した。

 従来はハードの完成が遅れると、組み込みソフトの開発期間が十分に確保できないという課題があったが、仮想環境をつくりだすことでハード開発と並行した開発が可能になる。開発期間の短縮も図れる。

 安全性が重視される自動車産業向けも視野に入れており、万一故障が発生しても安全機能が喪失しない“機能安全”をサポートする計画。

 開発には高度な技術が要求されるが「各方面の知識を結集する」(太田秀昭・人材育成室長)ことでプロジェクトを成功させる考え。ソフトピアジャパンには先の研究会など産官学の多様な人材が集まっており、今後は幅広い連携による技術の集約が期待できる。中部地区の組み込みソフト産業の振興に向けた中核的存在として事業を推進していく方針。
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