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韓国 1億ドル規模の専用投資ファンド ITベンチャーの救世主現る

2007/11/19 22:25

週刊BCN 2007年11月19日vol.1212掲載

 【ソウル発】市場調査機関であるIDCの系列会社であるIDG(International Data Group)は米国、中国、ベトナム、インドに続いて5番めの対象として韓国のITベンチャーに投資する方針を決定したと発表した。韓国では「IDGベンチャースコリア」というベンチャー投資会社を設立し、1億ドル規模の専用ファンドを結成した。

 IDGベンチャースは1992年にスタートして以来、全世界220社に投資してきた世界最高レベルのグローバルベンチャーキャピタルファンドネットワークである。現在、合計6つの個別ファンドを抱え、20億ドル規模の資金をアジアと北米地域で運営している。IDGベンチャースは特に中国投資に強い。中国初のベンチャーキャピタルとして進出し、中国の有名検索エンジン「バイドゥ」をはじめ「ホームイン」を米国ナスダックに上場させたこともある。

 IDGベンチャースコリアはITとメディア技術が融合した「ニューメディア」分野を主な投資対象と考えていることも明らかにした。

 ここでいう「ニューメディア」とはビデオ、SNS、マルチプラットフォームe-コマース、ゲーム、モバイルコンテンツなどで、この分野に該当する米国企業はYouTube、Facebook、MySpaceなどがある。

 これとともに、SaaS(Software as a Service)、セキュリティ、ホームネットワーク、オープンソースV2.0等の「New IT」分野も優先的に投資していくと明らかにした。特に最近注目されているニューメディアは年平均15%以上成長している勢いのある分野で、世界で500億ドル以上の市場を形成している。

 IDGベンチャースコリアは投資総額の70%程度をニューメディアに投資する計画だ。投資段階を分けて、創業の初期および中期ベンチャー企業に40%ずつ計80%を投資し、後期ベンチャーには20%に下げる計画だ。

 韓国のベンチャーキャピタルは危険を避けるため、ある程度成熟した後期ベンチャーにばかり投資する傾向があるが、IDGはハイリスクハイリターンの初期と中期段階にあるベンチャーに投資を集中させるという。総投資期間は8年間に設定し、前半期4年は投資期間、後半期4年は維持および収穫期間として運用する方針だ。これとともに韓国ベンチャーへの投資は総額の60-70%に絞り、残りは海外ベンチャー企業にも投資する。投資収益率(IRR)期待値は25%に設定している。
 趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
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