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東芝ソリューション 売上高500億上乗せへ 3か年経営計画で実現目指す

2008/01/21 20:50

週刊BCN 2008年01月21日vol.1219掲載

 東芝ソリューション(梶川茂司社長)は、2010年度(11年3月期)までに連結売上高を約500億円上乗せする。昨年度実績約2900億円を3400億円規模まで拡大させる。優良顧客に営業リソースを重点的に配分するアカウント戦略の徹底や、得意とするITプラットフォーム、組み込みソフトウェアなどの事業拡大を推進。ここ数年、トップラインの伸び悩み傾向があったが、「強みをさらに伸ばす」(梶川社長)ことで増収路線に転換を図る。

 SI業界はインテックホールディングスとTISの経営統合など再編による大手集約が急ピッチで進んでいる。これまでトップ集団の一角を占めてきた同社だが、相対的に存在感が薄まる恐れが出てきた。ITサービス産業の伸びを上回る速度で成長していくことで、引き続きトップクラスのSIerとして影響力を強めていく考えだ。

 上位およそ100社の優良顧客に軸足をおいたアカウント営業を展開する一方で、中堅企業向けの業務パッケージソフトを07年10月に大幅刷新。大口顧客と中堅顧客のそれぞれの需要によりマッチしたビジネススタイルに変えてきた。また、強みであるITプラットフォームや組み込みソフト開発にも力を入れたことで、今年度(08年3月期)の連結売上高は前年度比約5%増の3050億円を見込むまで回復する見通し。国内ITサービス産業の平均成長を上回る年率3-5%の成長の持続を狙う。

 ITプラットフォーム事業では、たとえば本格的な普及が見込まれるSaaSなどオンデマンド型サービスベンダー向けのシステム構築を積極化させる。「当社がSaaS型のサービスを提供するというよりは、SaaSベンダーのプラットフォーム構築需要を取り込む」と、基盤技術に強い東芝ソリューション“らしさ”を打ち出していく。

 需要が高まっている自動車向けの組み込みソフトも重点領域とする。急速なIT化で分散傾向にあった自動車用制御システムを統合する動きが活発化しており、強みの基盤技術を前面に出すことで受注拡大につなげる。これまで組み込みソフト需要で引っ張ってきた携帯電話関連に陰りが見えるなか、自動車向けは引き合いが増している。直近の組み込みソフトビジネスは売上高全体の1割強を占めるが、今後3年で同事業の規模を1.5倍に増やす。こうした取り組みにより、10年度には連結売上高3400億円、営業利益170億円、営業利益率5%を目指す。
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