L4-7スイッチ市場でトップシェアをもつF5ネットワークスジャパン(長崎忠雄社長)は、ADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラ)の新製品「ヴィプリオン」を投入し、必要に応じた拡張性や無停止を前提としたネットワークのオンデマンド化を追求する。1つのシャーシ(きょう体)に複数台のADCを搭載できるブレード型に仕上げたことでオンデマンド化を実現。導入の簡便性をアピールすることで拡販を図っていく。

 企業のインフラが拡大した際、これまでと同様に業務を遂行するためにはネットワークの増強が必須となる。アプリケーション配信の最適化に向けてADCを拡張すれば解決するが、短時間でもいったんネットワークを止めなければならない。ネットワークの停止は業務上で何らかの支障をきたす危険性がある。しかも、単に増強するだけでは運用コストの増大やネットワーク複雑化の原因となり、管理者にとっては手間がかかる。こうした課題を解決するため、F5ネットワークスは「ヴィプリオン」を市場投入した。

 同製品は、ブレード型に仕上げたことでADC拡張の簡便性を追求。1台のブレードADCにネットワークを集中させることにより稼働中でも追加できる。1シャーシ内でネットワーク配分調整が行えることから、データ配信量に応じて自動的にトラフィックを処理することも可能。「“オンデマンドADC”と位置づけ、ユーザー企業の課題を払拭する」(武堂貴宏・プロダクトマーケティングマネージャ)としている。

 また、「ユーザー企業のニーズに応えただけではない」とも主張している。インテグレータがNIを手がける際のトラブル軽減にも有効とのことだ。これまで「いかに短時間の停止でネットワークを増強できるか」というユーザーからの要望にNIerは応えなければならなかった。そのため、構築する側にとっては人員を余分に投入するなどコストがかさむ傾向があり、利益を確保できないケースもあった。簡便性を実現することで、「販売パートナーが売りやすい商材として位置づけるのではないか」とみているほか、手離れが良いことやシャーシを入れればADC追加時の注文も受ける可能性があるといったことから、「新規パートナーを獲得できる」と期待している。

 現在、データセンター市場ではコンピュータシステムのリプレースが活発化しており、サーバーやストレージの統合や仮想化などを切り口にベンダー各社がビジネス拡大を図ろうと懸命だ。こうした動きのなかでは、必然的にネットワークインフラを改善するケースが多く、F5ネットワークスはこの波にうまく乗った形だ。同社は国内L4-7スイッチ市場でトップシェアを維持しているだけに、「直接的な競合製品は存在しない製品」の開発で他社を先行し、揺るぎない地位を築こうとしている。L2/L3スイッチが成熟市場といわれている一方で、L4-7スイッチ市場が伸びていることから、今回の製品を契機にネットワーク機器市場全体でも主導権を狙える可能性を秘めていそうだ。