KVMスイッチメーカーのアボセントジャパンは、複数台のパソコンやワークステーションなどデスクトップコンピュータを遠隔操作できる「HMX」シリーズを5月初旬に出荷開始する。手元にPCがなくても液晶モニタだけでアプリケーションを利用することができる。これまではサーバーを遠隔操作できる製品を中心に提供してきたが、今回の製品で事業領域の拡大に弾みをつける。

 「HMX」は、デスクトップパソコンやワークステーションのデータを離れた場所にある液晶モニタとキーボード、マウスで操作することが可能な製品。共同でこなさなければならない業務や重要なデータを保存しているハードウェア劣化の解決策として、同社は市場投入に踏み切った。価格はオープンであるものの、20万円程度をめどとする。

 米山康・チャネルセールスマネージャーは、「コンピュータから発生する騒音や熱の対策や、セキュリティ対策などに適している」と位置づけて需要を喚起していく。CADを使う製造業をはじめグラフィックデザイナーや放送局など大容量のデジタルデータを扱う企業、銀行や証券といった金融機関など高セキュリティを求める業界を対象に販売。最近は、デジタル看板でリアルタイムに告知していきたいというユーザーニーズが増えていることから、小売店や空港など消費者が集まる場所を運営する企業に対しても販売のアプローチをかけていく。

 セキュリティを高める方法として、HDDを搭載しないシンクライアント端末を導入するケースもあるが、「一般オフィスのデスクワークにはシンクライアントが適しているかもしれない。しかし、映像など大容量のデータをスムーズに配信できるとは限らない」と指摘する。また、低価格に設定していることからも「システム全体をリプレースするわけではないため、ユーザー企業にとっては安価に導入できる」ともアピールする。例えば放送業界では1つの映像を共同で編集する必要性から特注の高額システムを導入する傾向があるが、このような用途でも、より少ない投資で効果を出したいといったニーズに応えたわけだ。

 販売代理店となり得るインテグレータにとっては、「ネットワークの負荷がかかるため、ネットワークインフラ増強のシステム案件につながるのではないか」(瀧澤寛・チャネルセールスマネージャー)とみている。そのため、同社ではNIに強いベンダーを中心にパートナーシップを深めていきたい考えだ。

 サーバー用のKVMスイッチを提供してきた同社にとっては、「HMX」でビジネス領域の拡大を本格的に展開することになる。今回の製品を市場投入する前に昨年末には、1台のデスクトップに対して1台のクライアント端末で操作が可能な製品を発売。「まだ大きな案件は出ていないものの、ニーズがあることは分かった」(瀧澤マネージャー)という。デスクトップまわりのビジネスについては、販売台数として1年間に1500台を見込んでいる。