KDDI(小野寺正社長)は法人向け事業の強化に乗り出す。同社では、ソリューション事業統轄本部のもとに、法人向け営業部門を統合。それにあわせて、法人向けの施策を強化しており、「固定と移動通信の両方できちんとサービスできるのがKDDIの強み。ネットワーク、データセンター、SIをワンストップで提供することで、企業のネットワークコストを大幅に下げる提案が可能になる。また、FMC(移動体通信と有線通信を融合した通信サービス)をベースにして法人向けICTソリューション売上高の拡大に取り組む」(小野寺社長)として、2010年度を最終年度とする中期経営計画「チャレンジ2010」の成長ドライバーのひとつに、法人向け事業を位置づけている。

 同社は、法人向けモバイル営業体制を整備し、社員数100人以上の中堅・大規模企業に対しては直販営業体制を敷き、ソリューション提案営業を展開。すでに綜合警備保障が、KDDIのモバイルネットワーク、GPS機能付き携帯電話、KDDIが開発した専用BREWアプリケーションを活用し、警報が発令された際に効率的に隊員を派遣するサービスに活用するといった実績が出てきている。

 また、社員数10人以上の小規模法人向けには、法人専従営業担当者を配置し、代理店を通じたプッシュ型営業を展開。10人未満の小規模法人向けには、auショップに法人コーナーを設置し、プル型による営業展開を本格化する。

 さらに、今年3月から開始した法人限定auウェルカムキャンペーンが、「初月から順調な滑り出し」(小野寺社長)として、成果が上がっていることを示唆している。

 同キャンペーンは新規に携帯電話を購入し、「プランSS」、「法人割」、「誰でも割」を契約した法人を対象に、2010年5月まで基本使用料を980円とし、無料通話分を月1050円分付与するというもの。また、「誰でも割」と「法人割」との組み合わせで、社員への無料通話を可能とするサービスも開始している。いずれも法人契約を拡大しているソフトバンクモバイルへの対抗策ともいえるものだ。

 一方、固定通信事業においては、パワードコムとの合併以降、アクセス網の二重化などの信頼性向上により契約数が増加。また、VPNサービスの売り上げも拡大しているという。07年度のVPNサービスの売上高は前年比11%増の約1000億円と、先行するNTTコミュニケーションズとの差を縮めつつあるところだ。

 さらに、世界39都市48拠点から顧客の固定通信インフラをサポート。今後は、データセントリックニーズに対応するため、同社の海外データセンター事業である「TELEHOUSE」に約250億円を投資し、総床面積を1.5倍の10万平方メートルに拡張する。

 「企業ユーザーでは、固定も携帯も区別なく利用する時代がやってくる。それに向けて本格的に動き出せる組織へと変えた。法人向け事業は今後成長が見込まれる領域であり、魅力的な市場」(小野寺社長)として、事業拡大に力を注ぐ考えだ。