シマンテックの加賀山進社長は7月上旬、4月1日の就任後初めて経営戦略を発表した。今年度(2009年3月期)をエンタープライズビジネスの「基盤固めの年」とし、(1)サービス・品質の向上(2)ビジネスのしやすさ向上(3)認知度の確立――の3点を骨子に事業計画を立案する姿勢を示した。米シマンテックの前年度比成長率は10-15%だが、日本法人は「5%以下の成長率」(加賀山社長)。米本社並みの成長率に引き上げるために、企業向け事業のテコ入れを図る。

 米シマンテックの収益構造は、企業向け事業で約70%を稼ぐのに対し日本法人は約50%。日本はグローバルに比べてコンシューマ向け事業が強く、エンタープライズビジネスの伸長率の低さが慢性的な課題になっている。それを打開するために、加賀山社長が示した経営戦略は、企業向け事業強化を中心に練った格好だ。

 掲げた骨子の具体策として、検証施設の充実や認定資格制度の浸透、パートナーが製品を購入しやすくするための注文プロセスの改善、単体売りから複数製品の組み合わせ提案の推進などを示したが、最も強調したのがユーザー企業への直接営業の強化だ。

 加賀山社長は、「シマンテックは約200商品を持つが、売上高の9割をわずか10製品で稼いでいる状況。新製品など埋もれている商品をパートナーに販売してもらうためには、シマンテックが自らユーザー企業に出向き、案件獲得のモデルケースを作る必要がある。マーケットをつくるのもメーカーの責任」とその理由を語る。営業担当者だけでなく、導入とサポート人員も含めたチームをつくり、直接営業を推進する計画だ。人員増強も検討する。

 一方、店頭シェアが落ちているコンシューマ事業については、「家電量販店や流通業者との関係再構築を進める。ただ、(シェア回復には)時間がかかるだろう」と説明。早期のシェア回復は厳しいという考えを示した。

 加賀山社長は、日本IBMに25年間勤めた後、日本ピープルソフトとジェトロニクスの社長を経て08年4月1日から現職。日本法人社長ほか米本社バイスプレジデントを兼務する。1952年生まれの55歳。