ITC/SEと中小企業をつなげる

 近畿経済産業局は、ITコーディネータやSE(システムエンジニア)を中小企業とつなげるためのビジネスマッチングサイトを立ち上げる計画を明らかにした。「関西IT経営応援隊事業」を強化するもので、今は来年度の提供開始に向けて予算獲得を進めている段階だ。中小企業のIT化を促進することが目的だが、厳しい局面に立たされている近畿IT市場の活性化につなげることも狙いとしている。

 近畿経済産業局は今秋、IT化を図りたい中小企業を会員として募る仕組みを第1段階としてつくる。IT経営応援隊事業の一環だ。同局のサイトなどで会員登録できる機能を追加するほか、IT関連のセミナーなどで募集をかけていく。いわゆる“IT応援され隊”ユーザー企業の基盤を確立する。こうした環境を整え、ビジネスマッチングサイトの開設時には同サイトでITコーディネータや企業内SEにも会員登録してもらい、マッチングできるモデルを構築する方針。IT経営応援隊事業を担当する地域経済部情報政策課の板倉孝雄・情報化推進係長は、「立ち上げ時から中小企業に役立つサイトに仕上げたい。また、“マッチング”という面では、ITベンダーにとってのビジネスチャンスにつなげていく」としている。

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 こうした取り組みに踏み切ったのは近畿地域のIT市場が厳しいため。「ITベンダーがビジネス機会を逸している可能性が高い」という。例えば、奈良県ではITコーディネータが苦戦しているといわれている。その一方で大阪の優秀なITコーディネータのなかには、多くの案件を抱えていることからやむなく案件を断るケースもあるようだ。また、「中小企業から、IT化を誰に頼めばいいのか分からないという声をよく聞く」。こうした状況を憂慮して、「“交通整理”を行う必要があるのではないか」と判断したわけだ。サイトでのサービス内容は今後詰めていくが、サイトだけで完結するわけではない。電話などでの問い合わせや、実際に契約を結ぶ際はフェース・トゥー・フェースで行えるようにするなど、「実務と直結した操作しやすいサイト」を念頭に置く。現在は、来年度予算で実現できるように進めている段階だが、「投資は少額であることから、何としてでも予算を取りたい」意向を示す。ほかの地域の経済産業局にも話を持ちかけており、九州からは好感触を得ているという。

 最近では、インターネットによるビジネスマッチングが増え始めている。同じ近畿では、大阪商工会議所が約30万社の企業データを生かし、支援サイト「ザ・ビジネスモール」を開設して企業間取引が行えるサービスを提供している。同サービスは会員制でITに限らず幅広い業界をカバー。本格的な提供開始から3年が経過した昨年度(08年3月期)には、6050会員(06年度は3890会員)と一気に膨れ上がったという。IT業界に特化した今回の近畿経済産業局による取り組みは、はたして市場活性化につながるのか。もし成功すれば、ITベンダーによる中小企業向けビジネス展開にとって起爆剤になる可能性を秘めている。

 今後、サイトが立ち上がれば関連団体との連携強化を図ることで会員を増やす取り組みも必要になるといえそうだ。