パソコンメーカーのアスース・ジャパン(杜啓宇=ケビン・ドゥ社長)は、法人向けパソコン販売を拡大する。同社はコンシューマ向けで5万円を切る価格帯のミニノートパソコンで急速にシェアを伸ばしてきた。ミニノートそのものは個人向けに特化したものではないため、ブランド認知度が向上したタイミングで法人向けの販売に力を入れる。2009年1月に大阪に営業拠点を開設するのと合わせて、ビジネスパソコン市場への進出を本格化させる。

 ミニノートは、インターネットや電子メールの利用を念頭において機能を絞ったノートパソコンで、モバイルインターネットデバイス(MID)とも呼ばれる。アスース・ジャパンのミニノート「Eee PCシリーズ」は今年4月頃から世界的に売れ始め、国内でもシェアを急速に伸ばした。BCNランキングの直近3か月(8-10月)のノートパソコン販売台数シェアはEee PCシリーズを中心に10%近くまで拡大。NECや富士通など国産勢の背中が見えるまで迫っている。

 これまでマザーボードなどパソコンパーツ分野でのブランド力は強かったが、パソコン本体の国内での認知度は決して高くなかった。ミニノートの成功によってパソコンメーカーとしてのブランド力を高めた同社では、09年から本格的に「ビジネス市場への拡販」(杜社長)にも努める考え。国内にはサポート拠点しか置いていなかったが、今年7月にマーケティング機能を大幅に強化。日本独自のビジネス戦略を打ち出せる経営体制を整備した。来年1月には大阪に拠点を開設し、手薄だった関西方面の営業をテコ入れする。

 5万円を切る低価格ノートパソコンは、もともと途上国にインターネット端末を普及させるなどの狙いで開発されたものだ。インテルの価格を抑えたプロセッサ「Atom」やマイクロソフトの協力を得ながら、「彼らと共通の目標をもって」(同)取り組んできた。ところが、先進国でも気軽に持ち運べるネット端末として大ヒット。従来、5万円パソコンに参入していなかったメーカーの追随現象も起きた。

 11月には、ディスプレイの大きさが10.2インチの新機種を投入。7インチからスタートしたミニノートは10インチ台へと大型化した。ノートパソコンについては、国内外のパソコンメーカー入り乱れての「混戦状態が来年以降も続く」と杜社長はみており、法人向けを含むパソコン市場全体でのシェア拡大に意欲を示す。