TDCソフトウェアエンジニアリング(TDCソフト、藤井吉文社長)のモバイルサービス事業が採算ラインに乗ってきた。携帯電話向けにSFA(営業支援システム)やCRM(顧客情報管理)サービスを提供するもので、大手SaaSベンダーやISV、通信キャリアなどと連携し、基盤部分はTDCソフトが独自に開発。月額定額で手軽に利用できることから、営業で外回りが多いユーザーを中心に契約数が急増している。

 TDCソフトはSaaS型CRM大手のセールスフォース・ドットコムや日本オラクルのCRMアプリケーションを携帯電話で使えるシステム基盤を開発してきた。ここにきてそのモバイルサービスユーザーが急増している。昨年度(2008年3月期)末までの同社のCRM・SFA系モバイルサービスの利用者数は約1000ユーザーほどだったが、今年度上期(08年4~9月期)に入って大型案件が相次ぎ、一気に5000ユーザーに増えた。通期のモバイルサービス関連事業の売上高ベースでは5億円規模に成長する見込み。

 下期から来期にかけての受注も好調なことから、今期中でほぼ採算ベースに乗せ、「来年度は収益の柱の一つに成長する見通し」(藤井社長)と、手応えを感じている。

 ソフト開発がメインである同社にとって、自社サービスを拡販する営業力が弱いのが課題だった。そこでセールスフォースやオラクル、通信キャリアのソフトバンクBBなどと積極的に連携。こうした事業者の営業ルートなどを活用することで弱点をカバーし、モバイル関連のサービスの拡販に努めてきた。SaaS型SFA・CRMの認知度の高まりと営業効率を高めようとする顧客ニーズの根強さがあり、さらには携帯電話を使う手軽さが評価され、販売に弾みがついた。

 営業支援系だけでなく、携帯電話のカメラやGPS(全地球測位システム)機能を使った報告書作成システムで今年8月、特許を取得した。建設現場の施工状況や産業廃棄物のトレースなどで、携帯電話で証拠写真を撮影。時刻認証やGPSで位置を確認し、データを改ざん不可能な状態にして報告書を作成する仕組みだ。携帯電話の既存機能をうまく活用し、証拠写真と時間、場所をセットにして記録・報告する仕組みは、コンプライアンス需要の一環として引き合いが増えている。

 モバイルを基盤とするシステムは、過去5年がかりで独自に開発してきたもので、同社の戦略ビジネスとして位置づけられてきた。ここにきて本格的に受注が伸び始めたことから、今後は携帯電話だけでなく、スマートフォンやPDA(携帯情報端末)などへの対応も検討するなど、モバイルサービス事業のより一層の拡大を目指す。