日本システムディベロップメント(NSD、冲中一郎社長)は、三井住友銀行(奥正之頭取)と決済業務での内部統制強化ソリューションの推進で業務提携した。三井住友銀行の法人向けインターネットバンキング「パソコンバンクWeb21」の新サービスである「振込データ改ざん防止システム」にNSDが販売する暗号化エンジン「PGP Command Line」を採用。同サービスを利用する法人顧客にも同エンジンを導入する必要があることから、協業にいたった。

 協業にあたり、NSDは三井住友銀行から顧客の紹介を受ける一方、共同のセミナーなども開催する。

 ネットバンキングサービスを販売する三井住友銀行の営業担当者がPGP製品も紹介し、顧客側から検討したいとの要望があった場合、具体的な提案から導入までをNSDが担当する。「当社はこれまで、顧客先に最初に入り、地道に仕事をし、関係を深めることで次の案件を獲得してきた。同行の顧客である大手企業とも接点を持ち、『PGP Command Line』のライセンスを売ることをきっかけにして、次のニーズを深耕していくのが狙い」(名執創・プロダクトソリューション営業本部1部 アカウントマネージャー)。一方の三井住友銀行側も、顧客側に一歩踏み込んで、暗号化により改ざんされない仕組みを提供することで、安心してデータを任せてもらえる状況を作り、新規顧客の口座開設を目指すのが目的のようだ。

 三井住友銀行との協業のきっかけは、同行顧客のある外資系企業が、内部監査において財務会計ソフトなどで作成されたデータと、アップロードされた振込データの同一性の証明の不備が指摘されたことだった。同行の顧客は暗号化ソフトを採用することによりデータ改ざんなどの社内不正を防ぎ、原本性を保証できることから、PGP製品を導入していた。「同行がPGP製品を導入すれば、顧客から送られてきた暗号化データをスムーズに受け取ることができる。特定顧客の問題ではあるが、ビジネスチャンスと捉えたのか、PGP採用の追い風となった」(名執マネージャー)。

 NSDは国内で最初にPGPを取り扱い、製品について豊富な知識を持っていた。そのため、2007年夏、三井住友銀行はNSDを介して「PGP Command Line」を導入し、法人向けインターネットバンキング「パソコンバンクWeb21」の新サービスである「振込データ改ざん防止システム」を提供開始した。

 同システムを利用するには、顧客側にも「PGP Command Line」を導入する必要があったため、昨春、NSDとの業務提携の話が持ち上がった。(発表は08年12月25日)

 「PGP Command Line」は「データの暗号化/復号化」「電子署名付与/検証」などの機能を持っている。「これからは、監査の際に社内の内部統制策だけでなく外部とのデータのやり取りの際に電子署名をデータに付与し、原本性を確保するなど安全な仕組みが求められる。こうしたニーズを背景に、暗号化の市場は大きく盛り上がるとみている」(名執マネージャー)。同社はライセンスのみで、1年間で100社、1億円超の売上高を目指すとしているが、発生するSI案件も入れると3~4億円程度に膨らむとも見込んでいる。