ジュピターテレコム(J:COM、森泉知行社長兼CEO)は、2009年度(10年3月期)から行政向け緊急地震速報サービスの提供拡大を図る。トライアルなどを積極的に提案しており、複数の地方自治体との話を進めている。1年間に3~4案件の獲得を当面の目標としている。


 緊急地震速報サービスは、地震の発生直後に震源に近い地震計でとらえた観測データ解析、震源や地震規模(マグニチュード)を推定して可能な限り早く知らせるサービス。通信事業者を中心に回線サービスの付加価値サービスとして提供しており、J:COMでも08年1月から本格的なサービスを開始した。

 同社が提供するサービスの差別化ポイントは、ケーブルテレビネットワーク経由という点だ。IP経由でのサービスと比べて遅延がない。西尾研太郎・商品企画部アシスタントマネージャーは、「1秒以内で情報を伝えることができる」としている。また、ランニングコストが低額なのも特徴だ。通信事業者が提供するサービスが月額料金として1~2万円であるのに対して、J:COMのサービスは行政向けに1か所あたり情報配信料として2500円などに設定している。河田俊樹・商品企画部長は、「公立学校などでは当社のサービスが標準的になるのではないか」と自信をみせる。

 行政向けには、昨年9月に東京都墨田区に導入した実績を持つ。墨田区では、約110施設でサービスを利用しているという。ほかにも、トライアルとして大阪府貝塚市、東京都で世田谷区や杉並区、町田市などと話を進めている。河田部長は、「来年度以降は、1年間で3~4の自治体に導入する」方針を示している。

 また、私立大学やマンション、工場などに提供することも模索。法人向け緊急地震速報サービスを提供する事業者やベンダーが増えつつあることから、「どのようなアプローチが最適かを考えていく」(西尾アシスタントマネージャー)としている。マンション向けに大手インターフォンメーカーとの協業を進めるなど、ベンダーとのパートナーシップ深耕で案件を獲得することも検討している。

 個人向けには、ブロードバンドサービスの加入者に対して月額480円(未加入者は月額800円)で提供。昨年末時点で2万人がサービスを受けているという。専用端末を使って郵便番号単位で震度や発生時間を算出できるほか、震度3程度で情報を伝えてユーザーが地震に備えられるようにするなど、サービス拡充に力を注いでいる。今年春をめどに、大雨洪水警報や凶悪犯罪発生場所、ゴミ収集日や選挙日といった行政による地域情報を中心に配信する計画も立てており、緊急地震速報サービスだけではない付加価値を追求していく。(佐相彰彦)