三菱総合研究所(MRI)グループと三菱電機インフォメーションシステムズは、不況明けの需要を狙ったERP(統合基幹業務システム)戦略を展開する。共同でERP事業を推進する新会社MRIバリューコンサルティングを設立。6月から営業を開始した。ユーザー企業は今回の不況で浮き彫りになった自身の“弱点”を補う動きを活発化させており、これに伴うIT投資やERPの再構築需要の獲得を目指す。3年後に同事業で年間30億円規模の受注を目指す。

 1990年代から導入が本格化したERPはすでに成熟市場で、ベンダー間の競争も激しい。にもかかわらず、今回、MRIグループが参入を決めたのは、「不況による市場環境の変化」(MRIバリューコンサルティングの関孝社長)にビジネスチャンスを見出したからだ。ユーザー企業は不況で表面化した自身の弱点を補うべく、自らのビジネスモデルや情報システムの見直しに着手するところが多い。このタイミングで、「従来のERPとは異なる切り口」(同)による提案によって、受注拡大を狙う。

 具体的には、すでにERPを導入しているユーザー企業にも通用する事業改革提案を柱とする。従来のERPは“全体最適”の思想のもとに、親会社から子会社、関連会社、取引先に至るまでのサプライチェーン全体にかぶせるように導入するケースが多かった。このため費用がかさみ、構築期間も長くなる。MRIバリューでは、例えば商品や事業ラインにターゲットを絞り込んだうえで、SAPやオラクルEBSなどのERPパッケージを活用。ユーザー企業の競争力を高める。「価格を抑え、短期間で投資対効果をあげる」(同)ことを重視するものだ。

クリックで拡大 ユーザー企業の商品や事業の市場におけるポジション・優位性は、それぞれ異なる。全体最適だけをみたERPでは、個別事業や商品の強みを効果的に引き出しにくい。また、ポスト不況を睨み、商品や事業を再び伸ばすためのビジネス再構築を手がけるユーザー企業が今後増えるとも予測。MRIバリューはこうした需要を掴むことでビジネスを伸ばす。公共や金融に強いMRIグループは、ここ数年来、産業分野を戦略的に伸ばす施策を打っており、これに中堅製造業の基幹業務システムなどに強い三菱電機インフォが加わった格好だ。MRIバリューの関社長は、味の素の情報システム部門の出身。後にPwCコンサルティング、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)で主にプロセス系製造業を担当。2008年末からMRIバリュー設立に参画している。(安藤章司)