CADソフト開発の福井コンピュータ(小林眞社長)は、ビルディング向けCADソフト製品を11月18日に発売する。これまで木造住宅用のCADソフトをメインにしてきたが、マンションやオフィスビルなどビル建設向けCADソフトを本格投入するのは今回が初めて。大塚商会などCADに強いSIerなどを通じて販売し、向こう3年間で年商10億円規模のビジネスに育てる考えだ。

10億円規模の事業に育てる

 福井コンピュータのビル向けCADは、構想段階から4~5年かけて開発したもので、製品名は「GLOOBE(グローブ)」。従来の計画では今年3月に発売を予定していたが、世界的な経済不況による建設需要の冷え込みを受けて延期していた。今回、ビル系の建築市場に底打ち感が出てきたことから、満を持して販売に踏み切る。

 販売では、試用期間を限定したうえで、同社ウェブサイトから完全版を無償でダウンロードできるようにする。これまで機能を限定した試供品を公開したことはあったが、機能を限定しない完全版の公開は初めての取り組み。木造住宅用のCADでは3万6000社余りに納入してきた実績をもつが、ビル向けでは新規での参入だ。「一人でも多くのユーザーに使ってもらい、良さを実感してもらう」(金牧哲夫常務)と、シェア拡大に意欲を示す。ダウンロードは、自社のウェブサイトだけでなく、大塚商会など販売パートナーのウェブサイトからも提供する予定。要望があれば、木造住宅用CADを販売してきた約200社の既存の販売パートナーのサイトからもダウンロードできるよう検討する。

 パッケージソフト単体のライセンス価格は、基本構成で52万5000円と割安に設定。だが、ビル用CADともなれば、デザインや構造計算、設計、施工など複数の設計士や建築会社などが関わる大型プロジェクトで使われることが多い。このため同製品にはネットワーク上で設計データを共有したり、仮想的な共同作業もスムーズにできる仕組みを採り入れた。

GLOOBEの製品ロゴと画面イメージ

 システム構築を請け負うSIerは、データを保存するストレージや、複数の事業者や設計士が共同作業できるネットワーク構築など「周辺SIが従来の住宅用CADよりも格段に多くなる」(同)と、売り手であるSIerのビジネスも膨らむと説明する。

 福井コンピュータは、2009年3月期の決算で6期ぶりに赤字に転落。今期以降は新規事業の一部を凍結、延期すると同時に、既存事業のテコ入れやビル系CADビジネスを拡大させることで、業績回復を目指す。(安藤章司)