ヤフーグループのファーストサーバ(大阪市、村竹昌人社長)は、これまで手がけてきたレンタルサーバーから、クラウドベースのホスティングサービスへと順次切り替える。今年7月には既存の約3万社のユーザー企業向けにシステム移行ツールを提供する予定で、「サーバー区画貸しの業態からサービス方式へと事業の転換を図る」(村竹社長)方針だ。

狩野英樹
取締役
 新しいホスティングサービスの名称は「Zenlogic(ゼンロジック)ホスティング」で、クラウド基盤は親会社のヤフーのクラウド技術を応用して構築。最小構成で月額2970円(税別)からの値付けにした。クラウドの基盤部分はヤフーが運用し、ファーストサーバは販売や新サービスの開発、ユーザー企業向けサポートに専念する分業体制としている。ファーストサーバは2012年に誤ってサーバーのデータを一部消失してしまう事故を起こしており、また、「Amazon Web Services(AWS)」などパブリッククラウドの台頭などによって競争環境も激化したことなどから、最盛期のユーザー数が約5万社から直近では約3万社に減ってしまった。

 同社では、2年がかりで事業の立て直しを模索し、導き出した答えが「従来のレンタルサーバーのアーキテクチャからクラウドベースのものへ切り替える」(ファーストサーバの狩野英樹取締役)というものだ。1996年に事業を始めてから長年にわたってレンタルサーバーを手がけてきた同社だが、すでにアーキテクチャそのものが陳腐化しており、「システムやプログラムが複雑に入り組んだスパゲッティ状態」(村竹社長)であることから、基盤そのものを刷新することにした。

 新サービスのZenlogicホスティングが採用しているクラウド基盤は、ヤフーが自社のサービス用に使っているシステム技術を応用。ヤフーではオープンソースソフト(OSS)のOpenStackをベースとしたクラウド基盤を自社向けに構築してきたが、この技術を応用するかたちで、今回、ファーストサーバ専用のシステムを新しくつくった。

 これによって、柔軟性や拡張性が飛躍的に高まるとともに、メモリやCPU、HDDといったITリソースがシステムの混み具合によって変動しない「リソース保証型」のサービスに仕上げた。レンタルサーバーはサーバーを物理的に貸し出す形態なので、ITリソースは他のシステムの負荷に影響されない。クラウドの拡張性とレンタルサーバーのリソース保証型のすぐれた点を組み合わせたハイブリッドサービスによって競争力を高める。

 同社の主な顧客層は従業員数100人未満の中小企業であることから、使いやすく、価格も固定的でわかりやすいように心がけ、今後は中小企業向けのアプリケーションやサービス群の充実によって、向こう3年でユーザー数を2倍の6万社に増やすことを目標に掲げている。(安藤章司)