バックアップソフトメーカーのアクロニス・ジャパン(大岩憲三代表取締役)は、クラウドビジネスサービスの提供拡大に力を入れる。クラウドサービスに精通したジェイソン・フリッシュ氏をクラウドサービス統括部長APJ&EMMとして迎え入れ、クラウド環境にバックアップできるサービス・プラットフォーム「Acronis Backup as a Service(Acronis BaaS)」を中核に、国内クラウドビジネスの売り上げを前年度と比べて3倍に引き上げようとしている。

ジェイソン・フリッシュ統括部長
 フリッシュ氏は、クラウドサービス事業者の「使えるねっと」で社長を務めていた人物。使えるねっとのクラウドサービスは、簡単な操作によって20秒ほどでサーバーを作成できるという手軽な導入方法や、必要な分だけ課金するという低料金で、多くの中小企業や個人経営者をユーザーとして獲得している。使えるねっとのサービスを一からつくり上げたのがフリッシュ氏である。

 使えるねっとは、ホスティング事業者やクラウドサービス事業者向けに自動化管理ソフトなどを提供するパラレルスとパートナーシップを組んでおり、米パラレルスの創業者であることに加えて米アクロニスの創業者でもあるセルゲイ・ベローゾフ氏が、現在、米アクロニスのCEOを務めていることから、フリッシュ氏はアクロニス・ジャパンのクラウドサービス統括部長に就任。しかも、日本だけでなくアジア・パシフィックや新興国にまでAcronis BaaSなどクラウドサービスの提供拡大を任されている。

 フリッシュ統括部長は、「当社は今後、1か月に一度のペースでクラウド関連のサービスをリリースしていく」との方針を示しているほか、「日本では、まず当社のクラウドサービスを一気に浸透させるためにクラウドサービス事業者やデータセンター事業者と積極的にアライアンスを組んでいく」という。すでに、複数の大手通信事業者との協業を実現しており、「当社にとっては、新しい販路の構築につながった」と評価している。

 これまでパッケージを中心にバックアップソフトを提供していただけに既存販社との兼ね合いが気になるが、「クラウドサービスで新規に獲得していく企業規模は、これまでバックアップソフトが高額で敷居の高かった中小企業。パッケージソフトとは棲み分けることができる」という。このような取り組みで、「クラウドビジネスを現状の3倍に引き上げる」と意気盛んだ。

 また、アクロニス・ジャパンでは、スモールスタートのクラウドで開拓した新規顧客のなかから、バックアップを中心にさまざまなデータ保管のニーズが出てくればパッケージを提供するというサイクルも構築。さまざまな角度から国内市場で同社の存在感を高めていく。(佐相彰彦)