エス・アンド・アイ(藤本司郎社長)は、業務PC上へのデータ保存を防止して、VDI(デスクトップ仮想化)環境相当のセキュリティを実現するソリューション「ThinBoot PLUS(シンブートプラス)」を発売した。業務端末に高度なセキュリティを求めながらも、VDIを導入する予算がない企業を主なターゲットとする。

 従来、業務端末のセキュリティを高める仕組みとしては、サーバー上でアプリケーションを実行し、画面だけを転送するVDIが提案されていた。VDIでは端末上にデータが残らないため、高度なセキュリティを実現できる。しかし、多数のユーザーの実行環境をホストできる高性能なサーバーが必要になるため、金融機関などの特定業種以外ではコスト高を理由に導入が進まなかった。

 ThinBoot PLUSでは、エス・アンド・アイが取り扱っているレノボ・ジャパン製のPCに、組み込みシステム用OSの「Windows Embedded」を搭載し、端末内蔵ストレージやUSBメモリなどへの書き込みを禁止。データ保存先は指定のファイルサーバーのみに限定し、業務に必要なアプリケーションソフトは、双日システムズが提供するアプリケーション仮想化ソフト「Spoon」を利用してサーバーからストリーミング配信する。データやアプリケーションを格納するファイルサーバーが必要となるが、VDIのような高性能・大規模なサーバーは不要なため、導入コストを大幅に削減できる。

 エス・アンド・アイによれば、通常のPCの導入コストを1とした場合、構成にもよるが一般にVDIでは1端末あたり3倍程度の金額が必要だったのに対し、ThinBoot PLUSでは1.3倍程度で済み、VDIに比べて半額以下の費用でセキュリティを高められるとしている。アプリケーションをカプセル化して配信する仕組みのため、複数アプリケーション間の密な連携が必要な業務には対応できない場合もあるが、一般企業の事務的な業務の多くでThinBoot PLUSが適用可能と同社はみている。また、アプリケーションは端末にキャッシュすることも可能なので、外出先のモバイル回線など一時的に接続が途切れる可能性のある環境でも利用できるという。

 同社の伊藤英啓・営業本部ソリューション第三事業部事業部長は、ThinBoot PLUS開発の背景を「マイナンバー制度の開始や情報漏えい事件の発生でセキュリティへの意識・要求が高まり、多くの企業からVDIに関する問い合わせが寄せられている。だが、コストの説明をすると導入を断念するケースが少なくない」と実情を語る。業務端末の導入・運用を行っているSIerなどにもパートナーシップを広げ、コストを理由にVDI導入をあきらめていた企業、公的機関、教育機関などの需要を取り込んでいく意向だ。(日高彰)