【上海発】ITサービスを手がける上海富佳信息技術(FUSION、澤戸明浩総経理)は、今年12月末をめどに、中国のSNS「微信(WeChat)」を活用した日本企業のインバウンドビジネス支援サービスを強化する。同社の「微信」公式アカウント上に、飲食店やホテル、小売店などの日本企業のPR情報を掲載するポータルサイトを構築し、登録した中国人ユーザーのポータルサイト上での行動ログや、加盟企業の実店舗での購買履歴の情報を収集して連結。加盟企業は、これを分析してマーケティング活動に役立てられる。(真鍋武)

澤戸明浩
総経理
 FUSIONは、2015年に営業を開始したばかりのベンチャーIT企業だ。現在、主要事業として、OSSを活用した中国の日系中小企業向け支援サービスを展開している。ITに多額の投資をかけられない中小企業に対して、低コスト・短納期で利用できるOSSの利用を促し、FUSIONはカスタマイズと保守サポートで収益を得るモデルだ。現在、取り扱っているOSSは、販売・在庫などの統合業務パッケージ「Odoo」、グループウェア「Groupsession」、BIツール「pentaho」の3種類。すでに8社のユーザーを獲得しており、澤戸総経理は「月あたり1~2社ペースで顧客が増えている。最短で商談2回で契約に至ることもあり、営業効率も高い」という。

 ただし、OSSビジネスの主な収益は保守サポートで、急激には売り上げを伸ばせない。そこで第2の事業の柱として立ち上げたのが、日本企業のインバウンドビジネス支援サービスだ。すでに日本企業向けに「微信」の公式アカウント開設や運用支援を手がけており、澤戸総経理は「近年、中国人によるインバウンド需要が注目されているが、これを20年の東京五輪までの一時的な需要とみる日本企業もある。こうした企業には、店舗で中国人の来店をただ待つだけでなく、彼らが中国に帰った後も継続的にPRを行い、自社に興味をもってもらえるようにしたいというニーズがある」と話す。

 「微信」の公式アカウント開設や運用支援を手がけるITベンダーは他にもあるが、澤戸総経理は「12月末に立ち上げるポータルサイトは、まだ競合も手がけていない」とみる。すでに、日本で中国人インバウンドビジネスの支援事業を手がける企業とパートナー契約を交わした。同社の顧客基盤を活用し、効率的に加盟企業を獲得する戦略だ。澤戸総経理は、「事業モデルを確立するために、まずは100社の加盟企業を獲得したい。パートナー企業も募集している」と語った。