デジタルアーツ(道具登志夫社長)は、新年度に入り営業方針を変更、大企業向けの販売を強化していく方針だ。それにあたり、社内でラージアカウント向けの専門チームをつくったほか、4月にコンサルティング会社の「デジタルアーツコンサルティング」を設立するなど、体制を整え本格的に動き始めている。

道具登志夫
社長
 デジタルアーツでは、ウェブフィルタリングソフト「i-FILTER」やメールフィルタリングソフト「m-FILTER」、ファイル暗号化・追跡ソリューション「FinalCode」などのセキュリティ製品を提供している。企業の情報漏えい対策ニーズが高まるなかで、こうした主力製品が売り上げをけん引し、同社の15年度(16年3月期)決算は増収増益を達成。好調な業績を残しているが、道具社長は「販売戦略の観点から採点すると50点くらい。まだやろうと思ったことが実現できていない」と満足していないという。

 100点を目指すための方策として、今年度から注力するのが日本の上位500社を対象にした大企業向けの販売だ。キーとなるのが、FinalCode。2年ほど前から本格展開し、前年比数倍規模で売り上げを伸ばしている同社期待の製品だ。デジタルアーツは100%間接販売をとっており、これまでも大企業向けに製品販売を行ってきたが、「(i-FILTERやm-FILTERは)単価が安いため割に合わず、販売店に積極的に提案してもらえなかった」という。しかし、「FinalCodeはクラウドサービスとしては低価格なものの、当社の製品のなかでは高価で利益も見込める。ニーズも多い製品なので、パートナーにも積極的に売ってもらえる」と期待を示す。現時点で大企業からのFinalCodeの引き合いは多く、「ユーザー企業のうち、7~8割が大企業」という状況。しかも、大企業のユーザーはスモールスタートでの導入が中心のため、今後の導入規模拡大も見込める。さらに、FinalCodeを切り口に、i-FILTERやm-FILTERのクロスセルも行っていく。道具社長は、「当社の製品だけで、ウェブ、メール、ファイルという基本的なPC業務にかかわるセキュリティの対策がとれる。すべての製品を入れてもらうことが目標だ」と話す。

 また、大企業向けへの販売体制を強化するにあたって、パートナープログラムのアップデートも検討中。とくに「一次店のポジショニングを高めていく」方向にあるといい、既存パートナーとの連携強化とともに、大企業向けに強いパートナーも開拓していく考えだ。

 デジタルアーツでは、この先5年以内に100億円の売り上げを目指す。15年度の売上高40億円と比較して2倍以上となる高い数字だが、道具社長は、現状の成長速度や販売体制の強化などを踏まえると「5年で100億は難しくない」と強調。今後、市場のニーズを捉えながらパートナーとの連携を強化していくとともに、海外での販売を本格化させ、売上増を狙う方針だ。(前田幸慧)