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電通国際情報サービス FinTech市場の成長をリード ピッチコンテスト「FIBC 2017」を開催

2017/03/29 09:00

週刊BCN 2017年03月20日vol.1670掲載

 電通国際情報サービス(ISID、釜井節生社長)は3月3日、都内でFinTechピッチコンテスト「金融イノベーションビジネスカンファレンス(FIBC)2017」を開いた。国内14社、海外15社のFinTechスタートアップが自社の製品・サービスの革新性を競い合い、国内部門はAuthlete、海外部門はTradeItがそれぞれ大賞を受賞した。

 FIBCは、FinTechスタートアップ、金融機関、ベンチャーキャピタルの交流の場として2012年から同社が例年開催しているイベントで、FinTech分野のピッチコンテストとしては国内最大級の規模。ピッチを含め各プログラムは全編英語で、FinTechビジネスのグローバルな広がりを強く意識している。とくに今回は、Level39、Plug and Play、SuperCharger、Stone & Chalkといった海外の著名なアクセラレータやインキュベーションセンター、さらには各国大使館の協力も取り付け、ピッチで登壇した企業の約半数を海外企業が占めるなど、例年以上にグローバルイベントとしての色彩が濃くなった。

 まさに、グローバルなFinTech市場の最新トレンドを知ることができるイベントといえそうだ。今回の登壇企業の製品・サービスの特徴についてISIDは、「送金、カード決済、ロボアドバイザー、認証、セキュリティなど、幅広い分野で既存の金融サービスと連携して新たな付加価値を提供するようなサービスが多く見られた」とまとめている。

 各賞の受賞者は、昨年まで全登壇企業を同じ枠組みで評価して決定していたが、今回からは国内部門と海外部門に分けて選出している。大賞については、識者5人で構成される審査員が、「金融市場へのインパクト」「経営陣の資質」「ビジネスモデルの革新性」「ビジネスの成長性」「グローバルサービスとなる可能性」という五つの評価ポイントを採点したうえで、最も高得点を獲得したサービスに贈られた。

 国内部門の大賞を受賞したAuthleteは、同名のクラウドサービス「Authlete」で、サードパーティアプリケーションからウェブAPIへのアクセス制御を行うための認可の仕組みを提供している。認可の標準規格である「OAuth 2.0」と、認証の標準規格である「OpenID Connect」に準拠していて、銀行APIの公開を含むさまざまなユースケースに対応可能だという。「ハイテクかつ、これまでにないサービスを通じて多くのスタートアップと金融機関がつながり、Open Bank APIを利用した新しいサービスが創出されることが期待される」(審査員コメント)との評価を受けた。

 一方、海外部門の大賞を受賞したTradeItは、あらゆるアプリケーション、ウェブサイト、チャットボット、AI製品から株取引ができるようにするAPIとSDKを提供している。製品名は、Authleteと同じく、社名と同名の「TradeIt」だ。「日本にはないような非常に洗練されたユーザーインターフェースを備えている。また、これまで日本が長年抱えてきた、家庭の貯蓄をどうやって投資に回すのか、という課題の解決策になり得る」(審査員コメント)点が高く評価された。(本多和幸)
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外部リンク

電通国際情報サービス=http://www.isid.co.jp/