「デザインファースト」のソフト開発で世界を攻める

 インフォテリア(平野洋一郎社長/CEO)は、英国のデザイン戦略コンサルティング企業であるThis Place(デュサン・ハムリンCEO)の株式を100%取得し、買収を完了した。両社の協業により、デザイン指向のソフトウェア開発と欧米をはじめとした海外市場開拓を推進する。

 This Placeは2011年創業で、英ロンドンに本社を置くほか、米シアトルにも拠点を設けている。16年は、売上高6億7500万円、純利益2億5200万円の業績を上げている。今回の買収は、「アーン・アウト」というスキームで実施され、買収時に約10億円を支払うとともに、買収後5年間はThis Placeの業績によってインセンティブを支払う。ハムリンCEOは、CEO職に引き続き従事し、インフォテリアの執行役員グローバルCOOにも就任する。
 
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インフォテリア
平野洋一郎
社長/CEO

 両社は4月4日に記者会見を開き、平野社長はThis Placeについて、「デジタルデザイン、企業のデジタル戦略も含めて手がける新しいかたちの企業。創業からたった5年で非常に優秀な業績を上げており、インフォテリアグループの一員に加わってもらい、一緒に世界に向けてビジネスを展開していく」と紹介。さらに、「30年以上ソフトウェア業界にいるが、どうしてもシリコンバレーなどに目がいきがち。しかし、3年前に英国大使館から紹介を受け、何度も英国に足を運ぶことになり、ロンドンだけでなく、マンチェスターなどにも、非常にユニークな技術をもつすばらしい企業がたくさんあることを理解した。そんななかで、デジタルデザインに長けた企業として、This Placeに出会った」と、買収に至った経緯を説明した。

 デザイン企業を買収した理由としては、「大企業によるデザイン企業の買収が相次いでいるが、インフォテリアも、デザインファーストにシフトする。iPhoneが代表的だが、コンシューマ向けモバイル端末などでは、従来の機能重視からデザインファーストに変わっていくという現象をみんなが目にしている。企業向けの製品はその動きが遅れていたが、使ってみて使いやすいかどうかが、より大事になっていくのは間違いない。だからわれわれも、デザインを重視して製品をつくっていくことにした」とコメントした。
 
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This Place
デュサン・ハムリン
CEO

 ハムリンCEOも、インフォテリアグループに参画することをポジティブに捉えていることを表明。「インフォテリアの技術力と当社の戦略コンサルティング、デザイン技術を組み合わせることで、グローバル市場で競争力を高めることができる」と強調した。
 
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英国大使館
クリス・ヘファー
貿易・対英投資
ダイレクター

 また、記者会見には、今回の買収を仲立ちするかたちになった英国大使館のクリス・ヘファー・貿易・対英投資ダイレクターも参加し、「イノベーションに関しては、英国はグローバルで高い評価を得ている。英国のテック産業には150万人以上が従事していて、非常に強い産業。優秀なスタートアップも多く生まれ、ユニコーン企業が欧州で最も多い。今回のM&Aは、英国のスタートアップが世界的に認められた証だと思っている」と、両社の協業に期待を寄せた。(本多和幸)