週刊BCNが8月25日に開催したITメーカーとIT販社をつなぐイベント「BCN Conference 2017 夏」は、聴講者が延べ500人を超え、会場は終日熱気に包まれた。午前はサイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授が基調講演、日本HPの九嶋俊一・執行役員パーソナルシステムズ事業本部長兼サービス・ソリューション事業本部長が特別講演をそれぞれ行った(既報)。午後は、三つのトラックに分かれて有識者や業界を代表するITベンダーが、それぞれの立場・テーマでIT業界の現状と未来、製品やソリューションについて講演。「デジタル革命最前線」をテーマに、各社が自社の強みや市場動向などを説明した。午後の三つのトラックの、それぞれの講演内容をまとめた。

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「BCN Conference 2017 夏」に協賛したベンダー

 まず、「A会場」のトラックでは、まずArcserve Japanの今井敏博・ソリューション統括部統括部長が登壇し、「ランサムウェア、HCI、クラウド~IT部門のキーワードから見る簡単導入バックアップの必要性」をテーマに講演した。同社のバックアップアプライアンス「Arcserve UDP Appliance 7000シリーズ」について、構成のシンプルさや拡張性、確実なデータ復元を行うための機能など、それぞれのトレンドを踏まえた製品の魅力を解説。「バックアップに特化し、最適化された専用機器で、今非常に受けがよく売れている」とアピールした。
 
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Arcserve Japanの今井敏博・ソリューション統括部統括部長


 日本マイクロソフトは、川瀬透・パートナーマーケティング統括本部ソリューションマーケティング本部本部長が「デジタル革命を加速する!日本マイクロソフトの新しいパートナー施策のご紹介」と題して講演。現在、マイクロソフトはデジタルトランスフォーメーションの先にある市場に合わせて4つのコアソリューションとして、「モダンワークプレイス」「ビジネスアプリケーション」「アプリケーション&インフラストラクチャー」「データ & AI」の提供に力を入れている。実現するには、パートナーの力が不可欠であるため、日本マイクロソフトでは、新組織としてパートナーマーケティング統括本部を設置。川瀬本部長は、「パートナーとともに、サービスやソリューションをつくり、そして一緒に売っていく」との考えを示した。
 
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日本マイクロソフトの川瀬透・パートナーマーケティング統括本部ソリューションマーケティング本部本部長

 ネットワールドは、福住遊・ストラテジック・プロダクツ営業部係長が登壇。「ストレージからみるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の最新動向」と題して、サーバーベンダー各社がHCIに注力する一方で、その影響を受けているストレージ専業ベンダーがどのように生き残りを図ろうとしているのかを、多くのストレージ、HCIを扱ってきた有力ディストリビュータとしての視点で解説した。福住係長は、「HCIは伸びているが、特有のニーズが残り続けるので専用ストレージは絶対になくならない。事実、各ストレージ専業ベンダーはまだまだ絶好調といっていい。ただし、トレンドを踏まえてHCIへの取り組みも強化している。具体的なアプローチは各社各様だが、HCIを支えるストレージ技術でどんな特色を出せるかがポイントになる」と結論づけた。
 
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ネットワールドの福住遊・ストラテジック・プロダクツ営業部係長

 次いで「B会場」のトラックでは、サイボウズの池田陽介・ビジネスマーケティング本部ビジネスプロダクトマネージャーが「クラウドグループウェアでひろがる新たなビジネスチャンス」をテーマに講演。池田マネージャーは、「いままでは、生産や物流を効率化していけばよかったが、新しいビジネスを創出しないと、競争力を生み出せなくなっている」と指摘したほか、「顧客のニーズに柔軟に対応できるサイボウズの製品を使うことで、提案の機会が増え、新たなビジネスを生み出すことができるようになる」と説いた。
 
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サイボウズの池田陽介・ビジネスマーケティング本部ビジネスプロダクトマネージャー

 経済産業省の河野孝史・商務情報政策局情報経済課課長補佐(総括)は、「Connected Industriesの実現に向けた経済産業省の取組について」を説明した。このなかで河野課長補佐は「モノに加え、人、技術、組織などがさまざまにつながることによって、新たな価値創出を図ることが、日本の産業が目指す姿」と述べた。
 
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経済産業省の河野孝史・商務情報政策局情報経済課課長補佐(総括)

 サイオステクノロジーは、「APIでつなぐ新しいビジネス機会の創造」をテーマに二瓶司・APIエコノミー推進部部長がAPIを活用するポイントについて説明した。米国でのAPIエコシステムの現状や、日本におけるAPIの活用事例としてヴァル研究所を紹介。APIエコノミー構築支援サービスを提供している同社では、複数のAPIマネジメントサービスを扱っており、「顧客のニーズに合わせて、柔軟に最適なサービス提案できる」と強みを語った。
 
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サイオステクノロジーの二瓶司・APIエコノミー推進部部長

 ソフトバンク コマース&サービスは、平井宏範・ICT事業本部MD本部ネットワーク&セキュリティ統括部統括部長が「IoTセキュリティの課題と最新動向~ソフトバンクC&Sの取り組みとZingBoxソリューションの紹介~」と題して講演。平井部長は、「AIがIoTセキュリティを強化する」と強調し、それを実現するものとして機械学習でIoTデバイスの正常動作などを識別する機能をもつIoTセキュリティソリューション「ZingBox」のポイントや同社のセキュリティ戦略を語った。

 MetaMoJiは、浮川和宣代表取締役が「タブレットが開く新しいITビジネス」をテーマに講演した。同社は、現場で使うフィールドノートをデジタル化する手段として、タブレット端末とフィールドノートの機能を実現するソフトウェア群を開発。さまざまな業種向けテンプレートも用意して、現場のデジタライゼーションに取り組んでいる。浮川代表取締役は、「営業や建設、接客、製造、教育などの現場では、従来のパソコンやオフィスソフトは役に立たない」と指摘。また、ビッグデータやAI分析は、「データがあってこそ成り立つものであり、データの大半は現場で発生している」とし、現場のデジタル化によってビジネス変革、働き方の改革を推進していくと話した。
 
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MetaMoJiの浮川和宣代表取締役

 もうひとつ、「C会場」のトラックでは、まず日本オラクルの本多充・オラクル・デジタル執行役員が「デジタル時代を勝ち抜くには!?~事例に学ぶ、PaaS/IaaS導入の成功へのシナリオ~」と題して講演。本多執行役員は、「IaaSとPaaS、SaaSのすべてを全方位でカバーするソリューションを揃えていることと、国内データベースソフトウェア市場でトップシェアを誇る『Oracle Database』が使い勝手をそのままにクラウドによって低コストで利用できる点が強み」とアピールした。
 
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日本オラクルの本多充・オラクル・デジタル執行役員

 シネックスインフォテックは、清水章太郎・テクノロジーソリューション本部本部長が登壇し、「デジタルトランスフォーメーションにおけるユーザーニーズの変化とその対応」をテーマに、市場の現状を踏まえてディストリビュータの視点から、ソリューション提案のポイントとサービス提供の重要性について、米国での展開も含めて販売パートナーに向けて紹介した。清水本部長は、「(ネットワークの)5Gの非常に高速なネットワークをベースに、情報の高付加価値化や高精細な動画の提供が進んでいくことが予想される。ビジネスでは、自動運転や遠隔医療、IoT、物流トレーサビリティー、スマート農業、エンタテイメントの各分野で、新たなチャンス生まれることが期待できる」とした。
 
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シネックスインフォテックの清水章太郎・テクノロジーソリューション本部本部長

 ソリトンシステムズは、五味田直樹・マーケティング部プロダクトマネージャーが「企業の無線LANに最適な認証方式とその構築『何を、何から守りたいのか』に立ち返って考える無線LANセキュリティ」と題して講演。五味田マネージャーは、「従来は、悪意ある攻撃だけを意識していればよかった。しかし、現在は無許可端末の持ち込みなどの『シャドーIT』への対応も意識しなければならなくなり、端末識別が重要になっている」と指摘した。
 
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ソリトンシステムズの五味田直樹・マーケティング部プロダクトマネージャー

 国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの高木聡一郎・研究部長/准教授/主幹研究員は、「ブロックチェーン技術の展開とビジネス活用に向けた課題」をテーマに講演。高木部長は、「ブロックチェーンが、ビットコインだけでなく、台帳管理やIoTなどに応用範囲が広がってきた。さまざまな資産や取引をブロックチェーン上で登録、確認、移転できる可能性がある」と語った。
 
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国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの高木聡一郎・研究部長/准教授/主幹研究員

 エイトレッドは、平田圭・経営戦略室室長が「OEMワークフローで開発コストを大幅削減! 『ATLED Work Platform』」と題して、ATLED Work Platformによってワークフローの開発コストを大幅に削減できることを説明した。平田室長は、「自社ブランドのサービスの立ち上げを短期に実現することができる。新規開拓のツールなどとして使ってもらい、ビジネスの拡大に役立てていただきたい」との考えを示した。
 
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エイトレッドの平田圭・経営戦略室室長

 クロージング基調講演では、週刊BCN編集委員の谷畑良胤をモデレーターに、NTTデータイントラマートの内田直知・セールス&マーケティング本部 副本部長兼イノベーション推進担当と、日立ソリューションズの髙橋明男・社会イノベーションシステム事業部副事業部長兼Lumada企画推進室副室長、クラウド利用促進機構の森洋一・総合アドバイザーテクノロジー・リサーチャーがパネリストとなって、パネルディスカッションを実施した。「そもそも、デジタルトランスフォーメーションとは何なのか?」「SIerはどのようにマインドチェンジするべきか」をテーマにそれぞれが持論を述べ、参加者もうなずきや笑いを交えながら耳を傾けた。
 
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クロージング基調講演でIT業界著名人がSIビジネスを語る

 イベントでは展示ブースも設置。多くの聴講者がセッションの合間にブースを訪れていた。
 
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展示ブースも活気が溢れていた