18年はソリューション事業を本格始動

 2014年にソニーから分かれ、VAIOとして独立して3年。3期連続最終黒字、2期連続の営業黒字を達成した。構造改革の第1フェーズを終え、そのタイミングで新たな指導者を招き入れた。それがJVCケンウッド出身の吉田秀俊氏だ。

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吉田秀俊
社長

 吉田新社長は、「3年間の取り組みで経営はスリムになり、標準体質になった。第2フェーズは高収益の筋肉質な体質へ変えていく」と話す。既存のPC事業、講談社の「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」や富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」など、数多くの顧客をもつEMS事業がVAIOの基盤であることは間違いない。さらに体力をつけるために、PC事業の中国進出とVRソリューション事業に取り組む。

 ソニー時代、直営店「ソニーストア」を介して中国で販売していたVAIO PC。「100万台を販売した実績がある」(吉田社長)という。しかし、VAIOがソニーから独立し、中国市場から撤退。今回の中国市場進出は、VAIOブランドとしては再挑戦となる。

 VAIOはPC事業を国内だけではなく、米国や南米などで展開しており、中国で6か国目となる。「海外市場のなかでも最も大きいのが中国だ」(吉田社長)といい、中国に進出する意義は大きい。そこで重要となるのが販売網だ。吉田社長は「今、中国の若い人はPCやスマートフォンを使ってECサイトで物品を購入する」と話し、販売パートナーとして選んだのが、ここ4年で急成長を遂げ、中国のECサイトでトップの「JD.COM」だ。中国の人口の99%をカバーする物流インフラをもち、売り上げは「日本円で10兆円」(吉田社長)という。

 中国ではネット上の口コミが購買行動に与える影響が大きいため、SNS上で影響力が強いユーザーを巻き込んだマーケティング活動にも積極的に取り組んでいく。

 中国市場の展開における数値目標は明らかにしなかったが、吉田社長は、「以前のVAIOのポジションを取り戻す」と意気込む。

 現時点のVAIOの主軸はPC事業だが、「PCだけではこの先やっていけない」(吉田社長)という危機感もある。そこで「ハードウェアに依存しない」体制を築くという。とはいえ、PC事業を縮小するわけではなく、「4~5年先もPCのVAIOといわれているだろうが、そのハードウェアにソフトウェアを載せられるかどうかがこれから先の課題」と吉田社長は語り、EMS事業で培ったノウハウを生かし、ソリューション事業を開始する。その第一弾となるのがVRソリューションだ。

 「5~10年先にはもっとVRを身近に感じる世界がくると確信している。今から深堀りしていくことは有益だ」と吉田社長は力説する。すでに複数の案件が動いているようで、事業として早期に立ち上げることができそうだ。とはいえ、VAIOはVRソリューションに必要なハードウェア、ソフトウェアをすべてもっているわけではない。足りない部分については「事業提携で埋めていく」(吉田社長)としている。それがベンチャー企業のABALだ。ABALと提携し、VRコンテンツをつくりたい企業に対して導入・保守・コンテンツ制作、運営企画まで、すべてをサポートする体制を整える。

 本格稼働は18年からだが、吉田社長は「VAIOがVRソリューションの先駆けとなる」と語る。(山下彰子)