住民との対話に重きを置く

 少子高齢化や東京一極集中により、地方の人口減少や衰退が進んでいる。こうした課題を解決するため、自治体は地域の活性化、人材育成に注力している。とくに政府が2014年9月に「まち・ひと・しごと創生本部」を設立してから、地方創生・地域創生というキーワードは注目度を増した。この流れのなかで、富士ゼロックスも地域創生活動を強化した。

 同社の地方支援の特徴は、地元の住人による対話を行い、地域創生の実行プランを築く「入口」から、実行プランに合わせて最適なICTの選定や設置の「出口」まで支援する点にある。プロジェクトの完了まで短くても3年から5年かかる中長期的な取り組みになるが、その期間も地域に密着した取り組みができるのは、同社が全国に6社の統括販社、31社の全国販社をもち、顧客のそばで支援ができるからだ。
 
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高柳聡彦
ソリューションサービス
ディール推進部
地域創生営業部
部長

 同社の地方創生の第一歩は、地元住民の「対話会」から始まる。この対話会ではどういうことをやりたいかなど、テーマを導き出す。高柳聡彦・ソリューションサービスディール推進部 地域創生営業部部長は、「行政の指示ではなく、また声の大きい人の意見だけを通すのではなく、集合的な意見を出すことが重要」と話す。そのため、横浜市にあるコミュニケーション技術研究所では、価値観や考え方の違う人たちが同じ場所に集まって本音で語り合えるか、利害を超えた最適な答えを導き出せるか、徹底的に研究し、そのメソドロジーを対話会に埋め込んでいる。「例えば、1グループを何人にするか、そこにどういった人を入れたらいいか、会話を始めるにあたり、問いをどういった視点で立てればいいかなど、細かいところにエッセンスを盛り込み、本音を引き出せるようにした」と高柳部長は説明する。

 対話によりテーマが具体化した後は、プランの実行に必要な支援を富士ゼロックスが行っていく。こうした取り組みを岩手県遠野市、長崎県壱岐市などで実施している。

 直近では、富士ゼロックスと会計ソフトのfreee、鳥取のベンチャー企業のLASSIC、そして鳥取県智頭町による「スキマワーク」プロジェクトが2月9日にスタートした。林業が盛んな智頭町では冬季は仕事がなく、また主婦の仕事不足が大きな課題となっていた。そこで12年に閉校した旧・那岐小学校の教室をオフィス仕様に改修し、LASSICが主に智頭町内から人材を採用し、「クラウド会計ソフトfreee」の運用業務を実施。富士ゼロックスはテレワークセンターの設備を整えた。

 「地方創生の交付金は、地元の企業に使い、経済に浸透させていきたい。例えばネットワークの敷設などは、地元のSIerに依頼する。富士ゼロックス1社で多く取ってはいけない。そんなことをしなくても、地域創生の中核として活動することで、富士ゼロックスの存在感は十分高まり、引き合いも増えていくだろう」と高柳部長は話す。今後は複合機やコピー機の営業の接点を生かし、地方創生プロジェクトの提案を行っていく。(山下彰子)