あさかわシステムズ(大阪府泉佐野市、三宅安幸社長)は、建設・工事業向け統合基幹業務システム(ERP)「ガリバー」シリーズのSaaS版(仮)を今年度(2019年3月期)をめどに製品化する。情報化が進んでいる大手ユーザーに比べて、中小ユーザーの現場は紙や市販の表計算ソフトを使っているケースが依然として多い。手軽に使えるSaaS版を用意することで、これまで進出が難しかった中小ユーザー市場の開拓を推し進めていく。

建設・工事業向けERPでSaaS版投入へ


 大規模ユーザー向けの「ガリバー・プロステージ」、中堅・中小ユーザー向けの「ガリバーNEXT」までは、販売パートナーであるSIerによるカスタマイズやシステム構築(SI)を前提にしている。これに対して中小ユーザー向けの「ガリバー匠」は、カスタマイズなしで納入できる手軽さが特徴だ。同社の高岡直人・東京支店支店長は「今後、さらに裾野を広げていくには、ガリバー匠よりもさらに機能を絞り込み、直感的な操作性、より分かりやすい効果を前面に押し出していく」方針。
 

 「ガリバー」シリーズは、1991年のオフコン版のリリースから数えて30年近く建設・工事業ユーザーに愛用されている業種ERPだ。昨年度までの累計納入社数は、前年度比約28%増の872社。大手既存ユーザーの買い替え需要と、17年4月に投入した中小ユーザー向けの「ガリバー匠」の販売が好調だった。今年度は累計納入社数920~930社を見込んでいる。

 「ガリバー匠」は、カスタマイズなしで使えるのが特徴だが、納入に際しては、販売パートナーによるサーバーやソフトの設定、操作指導などの支援を前提にしている。SaaS版では、さらに一歩踏み込んで「例えば、オンラインで登録して、その日から使える一層の手軽さ」(五十嵐元・東京支店第二エリア営業部課長)を実現も視野に入れる。
 
左から、あさかわシステムズの穴澤宏幸主任、高岡直人支店長、五十嵐元課長

 同社の穴澤宏幸・東京支店第二エリア営業部主任は、「全国の建設・工事業の社数はおよそ50万社。うち個人経営などを除いて、会社組織になっているユーザーはざっと1万社。その多くが中小規模のユーザー」とみている。体力のある中堅以上の建設・工事業ユーザーは、こうしたIT投資を行えるが、中小ユーザーは、紙に書いてからコンピュータにデータを入力し直す“二度手間”や、表計算ソフトを複数の現場から集めて“集計し直す手間”といった「不効率さが残っているケースが目立つ」(穴澤主任)という。

 建設・工事業界は、慢性化しつつある人手不足を補うための生産性の向上や働き方改革に意欲的に取り組んでいる。IT投資の意欲も高まっており、これが「ガリバーシリーズの販売増につながっている」(同)。7月11日には、建設・工事業向けに「ガリバー」シリーズを活用した「働き方改革」をテーマにセミナーを東京国際フォーラムで開催する予定。(安藤章司)