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イライザ 日本語解析AIの業種展開を急ぐ ユーザーとの協業プログラムを始動

2020/10/08 09:00

週刊BCN 2020年10月05日vol.1844掲載

 東京大学研究室発のスタートアップ企業・ELYZA(イライザ、曽根岡侑也代表取締役CEO)は、日本語テキスト解析に長けたAIエンジン「ELYZA Brain(イライザブレイン)」を9月17日に発表するとともに、協力して事業を立ち上げるビジネスパートナーの募集を始めた。募集期間は12月17日まで。テキストデータを多く持ち、分析による業務自動化や新規ビジネス創出の意欲があるパートナーとの協業を通じて、ELYZA Brainの販売につなげていく。

曽根岡侑也 CEO

 さまざまな業種・業態の実ビジネスでELYZA Brainを役立てていくには、「実際の業務で使っているテキストデータを学習することが欠かせない」(曽根岡CEO)ことから、主にテキスト文書を大量に扱う業種ユーザーと協業するパートナープログラム「NLP30」を立ち上げた。同プログラムでは、イライザ側はELYZA Brainの無償提供や技術協力を行い、パートナー企業は業務で使っているテキストデータや業種・業態の知見を提供するとともに、イライザと協業して事業創出に向けた実証実験などを行う。

 ELYZA Brainは日本語解析で国内トップクラスの性能を持つとされ、テキスト文書の要約や採点、分類などの能力に長けている。この特性を生かし、例えば医療分野では診察前の問診内容を要約してカルテに記載する作業の自動化や、ビジネスの分野では売買契約書のリスクの高い条項を抽出。自治体では申請書の内容を精査して要件を満たしているかどうか評価するといった用途が想定される。

 NLP30のプログラムとは別に、イライザでは森・濱田松本法律事務所と契約書の領域で共同研究を行っているほか、三菱総合研究所とは市場調査の領域で研究交流を始めている。今後はNLP30のプログラムを通じて、より幅広い業種・業態に向けたELYZA Brainの実装に取り組んでいく方針。イライザは、AI研究で有名な東京大学・松尾豊教授の研究室の出身メンバーが中心となって2018年に設立された。(安藤章司)
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