受託ソフト開発などを展開するイー・ビジネスがこのほど、エンターテインメント業界向け動画配信ソリューション「Weshow」(仮称)の提供を開始した。コンサートやライブなどのイベントやスポーツ観戦が延期、中止する中で、エンターテインメント業界における新しいビジネスモデルの創出を支援するものだという。

花 東江 社長

 中国の南京理工大学を卒業後、日本のIT企業に勤務した中国出身の花東江氏が2007年に同社を創業し、日本企業に中国IT技術者を派遣したり、受託開発を請け負ったりする事業を始めた。現在では、中国大手ITベンダーの技術を駆使したサービス提供にも取り組んでおり、中国テンセントの「WeChatミニプログラム」(WeChatから起動・利用できるアプリ)を活用した宿泊事業者向け接客・集客支援サービスを提供している。しかし、導入する宿泊施設は増えたが、新型コロナウイルスの感染拡大で来日する中国人がいなくなり、同サービスの利用は大幅に減少。インバウンド需要はいずれ回復するだろうが、新しいサービスの投入が課題だった。売り上げの約9割を占める派遣や受託開発の減少に加えて、中国IT技術者の人件費上昇などがあり、事業構造の転換を急ぐためだ。

 そうした中で、花社長が着目したのはエンターテインメント業界だった。協業先のテンセントが強い分野でもある。同業界の大きな課題がファンとのリレーションをどう維持し、拡大させるかだ。その解決策の一つがオンライン動画配信の活用というわけだ。サザンオールスターズのようにライブ配信で大きな収益を確保した成功事例も出てきた。

 そこで同社は20年5月、リアルタイムのライブ配信技術などを持つテンセントのコア技術をベースに日本企業向けにローカライズしたWeshowの開発を始めたという。ライブ配信に加えて、バーチャル握手会や投げ銭、ツーショット写真撮影などのファン交流、ECによるチケットやグッズの販売、会員管理、オンライン課金などの運営管理の機能を備える。

 花社長によれば、興行主やアーティストが、ライブ配信だけで収益を確保するのは容易ではない。Weshowはファンとの接点をワンストップで提供できるため、ファンのデータもユーザー自身で管理、活用できる。これが大手プラットフォーマーなどのサービスとの大きな差別化ポイントだという。

 Weshowの提供形態は2種類ある。一つは大手企業向けの個別のソリューション提供で、自前の顧客管理システムやECサイトを既に構築済みのユーザーがWeshowをパーツとして利用する。この11月に、スポーツビジネス分野で受注したのを皮切りに、サッカーチームや婚活マッチング、大手芸能事務所などに広がり始めているという。

 もう一つはSaaS型での提供だ。IT要員のいない小規模な芸能事務所などをユーザーとして想定している。ECと決済などの仕組みをセットで利用する場合は、月額数万円の利用料と数%の決済手数料とする。(田中克己=IT産業ジャーナリスト)