SaaSのマーケットプレイスを展開するSaaSpresto(サースプレスト、柴田樹徳代表取締役CEO)が4年後の売り上げ約30億円を目指し、本格始動した。柴田CEOが、目標達成に向けて品ぞろえの拡充やサポート体制の強化などを図っていく計画を語った。

柴田樹徳 代表取締役CEO

 同社は2020年8月にNECと米投資ファンドのVista Equity Partners Management(略称ビスタ)の共同出資で設立。ビスタが扱う約70社のSaaSの国内販売会社として発足した。手始めに今年2月、リアル/バーチャルの両方に対応した米CVENTのイベント管理ツールと、ビスタ傘下の米ロジックモニターが提供するITインフラ遠隔監視ツールの販売を開始した。

 柴田CEOは「SaaSのビジネスは10年でブレークイーブンになると言われているが、当社は3年から4年で黒字化する」と自信を見せる。そのため、教育トレーニングなどのプロフェッショナルサービスや、例えばイベント管理にCRMなどの顧客データを連携させるなどといった技術サポートを用意し、SaaSの機能をフルに生かして顧客が大きな成果を上げる事例を増やしていくという。

 ビスタはもともと、自らが投資する米国などのSaaSスタートアップ企業の成長を支援するため、米国市場に次ぐ規模である日本市場の開拓に向けてパートナーを探していた。NECにも声がかかり、11年から7年にわたって海外事業責任者を務めた森田隆之副社長(当時、4月1日に社長就任)がSIビジネスとは異なるサービスモデルに関心を示し、ビスタとの業務提携の検討を指示した経緯がある。

 ただ、18年夏から社内で検討を始めたものの、なかなか結論が出なかったという。「NECとしてバリューをどう出せるのか議論になったが、(複数部署をたらい回しになり)ビジネスモデルは描けなかった」(柴田CEO)。SaaSが既存のSIビジネスに影響を与えるとの懸念があった可能性もある。

 そうした中で、当時、システムプラットフォームビジネスユニットで海外事業を担当する柴田氏に検討要請があり、チームを編成し、NECが51%出資する合弁形式を提案した。NECの外に出し、新しいビジネスモデルにチャレンジするためで、社名にもNECの冠を付けなかった。「一つ一つのSaaSをじっくり育てることよりも、SaaS全体の価値を上げるために、いいSaaSをどんどん日本に持ってくる」(柴田CEO)ことを重視。マーケットプレイスの利点を生かし、複数のベンダーから提供されるSaaSを組み合わせてアップセルを狙う。また、ユーザーに対しては窓口やサポートを一本化できるのも強みだ。

 目下の重点施策は、SaaSの品揃えの拡充だ。21年度中にはローコード開発ツールなど新たに二つのSaaSの販売を予定している。いずれはNEC製を含めた国産SaaSも取り扱っていく。ただ、ビスタとの契約により、4年間は同社が出資するSaaS以外は扱えないという。

 柴田CEOは「森田社長の思いは、SaaSビジネスでプレゼンスを持ち、リーダーになること。そのきっかけが当社になる」と意気込む。同社が国内市場に持ち込む海外の最新SaaSとNECの商材や顧客というアセットを組み合わせて、NECグループとしての提案の価値を上げることにも貢献したい意向だ。また、NEC自身のSaaS活用を促し、ビジネス変革のけん引役も担おうとしている。20年11月に開催したNECのバーチャルイベントにはCVENTのツールを採用し、2カ月で3万5000人の集客に成功したという。全社共通のイベント管理プラットフォームとして、来場者の管理や分析から顧客獲得に向けた一連のプロセスに活用している。こうした自社グループでのSaaS活用ノウハウも生かし、ユーザーにSaaSのメリットを理解してもらう活動に力を入れる。
(田中克己=IT産業ジャーナリスト)