電子情報技術産業協会(JEITA)は6月2日、富士通の時田隆仁社長CEO・CDXOが1日付で新会長に就任したと発表した。会見で時田会長は、デジタル人材の育成に力を入れる方針などを示し、「デジタル産業の業界団体として期待に応え、責務を果たしていく」と述べた。
時田隆仁 会長
時田会長は、本年度の重点事業として、DXを担う次世代のデジタル人材の育成を挙げ「あらゆる分野においてデジタル化が急速に進展する中、デジタル人材を育てていくことは年々重要性を増している」とし、「日本政府が推進する『デジタル田園都市』を実現するためには、デジタル技術を提供する企業のみならず、デジタル技術を活用する企業にもデジタルの知見を持った人材が不可欠」と語った。
その上で「ふるさとのインフラを担う人、教育を担う人、医療や福祉を担う人など、さまざまなプロフェッショナル分野を担う人がデジタルの素養や思考を持つことが大切で、それによって社会のデジタル化はより進展していく」と話した。具体的な取り組みについては、会員企業と協力してコンテンツや学びの機会を提供していくとし、その一つとして3年ぶりに幕張メッセ(千葉市)で開催するテクノロジーの総合展「CEATEC」を示した。
半導体も重要なテーマの一つに設定した。「半導体は国民生活にも多大な影響を及ぼすことから、国家安全保障の見地からも極めて重要な部材に位置づけられるようになった」とし、「研究開発やサプライチェーン強靭化に向けた政府への提言はもちろんのこと、半導体ユーザー企業や製造装置、素材産業とも連携を図り、高等専門学校などにおける半導体関連カリキュラムの導入支援など、産業を担う人材の育成にも力を入れていく」と力を込めた。
JEITAの変革については、正会員の対象をIT/エレクトロニクス企業から全業種に拡大したことで「デジタル社会を支える企業集団から、デジタルを旗印とする多様な企業集団に変わった」と説明し、「業種・業界を超えた課題解決や新たな価値を共に創り出す『共創』をより一層推進していく」と呼びかけた。
(大畑直悠、大向琴音)