カスペルスキーは3月16日、記者会見を開き、サイバー脅威の動向やビジネス状況などを説明した。ロシアのウクライナ侵攻の影響について、3年半ぶりに来日した露本社のユージン・カスペルスキー・CEOは「非常に困難な1年だった。欧米では、売り上げが減少したものの、そのほかの地域が、横ばいもしくは成長を遂げたことで補完できた」と経営が安定していることを強調した。
ユージン・カスペルスキー CEO
カスペルスキーCEOは、サイバー脅威の最新動向について解説、1日に約40万の新たなマルウェアを検出しており、年々増加しているとした。加えて、APT(持続的標的型攻撃)を行う犯罪グループが急増しているという。IT環境だけでなく、産業インフラへの攻撃も拡大傾向にありセキュリティ強化が重要だと解説した。
同社では、企業に対する攻撃によって発生し得る損害のコストよりも攻撃に要するコストの方が上回るようなレベルの保護を採用する概念「サイバーイミュニティ」を提唱。これに基づいて、XDR(Extended Detection and Response)製品や脅威インテリジェンス、産業インフラに特化した独自OS「KasperskyOS」などを提供している。
クリス・コーネル マネージングディレクター
ビジネスの現状については、クリス・コーネル・アジア太平洋地域マネージングディレクターが説明。アジア太平洋地域では、個人情報保護関連の法律への対応を目的に大手企業での採用が進んでいるとした。国内では、マーケティング活動の強化に取り組んだことが奏功し、非エンドポイント製品の売上が高成長を遂げているという。
透明性への取り組みでは、製品のソースコード、ソフトウェアアップデート、脅威検知ルールなどを確認できる専用施設「トランスペアレンシーセンター」をグローバルで設置したり、ユーザーのデータを中立国のスイスで管理したりするなどの活動を行っているとした。
(岩田晃久)