産業向けシール材メーカーのバルカーは4月24日、SaaS市場への進出を発表した。製造業向け設備点検クラウドサービス「MONiPLAT(モニプラット)」の提供を同25日に開始。非効率な作業が多い工場の変革を支援する。
MONiPLATは、同社が顧客の声を聞きながら1年以上かけて開発した。設備点検の現場で今後、スマートデバイスの利用が拡大することを見込み、スマートフォンのアプリ上で点検結果の入力やスケジュールの管理、承認フローの設定などをできるようにした。初期費用は不要で、月額利用料は毎月1日~20日の間の最大登録設備数で変動する。20設備までは無料で利用でき、それを超えた場合は設備数に応じて月額利用料が必要になる。
専務執行役員の瀧澤利治・H&S事業本部長は、設備点検の現場が抱える課題として、人手不足やデジタル化の遅れなどを挙げ、「これまで手がけてきたシール材の提供に加え、安全性の向上に役立ててもらうためにMONiPLATを提供する」と説明した。
点検の手法については、定期的に点検する主流のTBM(時間基準保全)と、設備の状態をリアルタイムで把握するCBM(状態基準保全)の二つがあるとし、「TBMでは、紙や『Excel』を使ったアナログで非効率な管理が現場で行われている。CBMでは、ほかの定期点検と一括で管理されておらず、非常に非効率になっている」と指摘。MONiPLATを「TBMとCBMを一つのプラットフォーム上で管理し、工場の安心・安全に寄与するソリューションだ」とした。
中澤剛太 副社長CDO
中澤剛太・副社長CDOは、同社が長年にわたって幅広い企業にシール材を提供してきたと紹介。また、市場にある類似サービスに比べて安価に利用できることなどをMONiPLATの強みとして示し、「日本で一番始めやすいサービス」とアピールした。
同社は、直販で関係性を培ってきた既存顧客への導入を進める。それに加え、各種広告などを通じて市場での認知を向上させ、新規顧客の獲得も目指す。
(齋藤秀平)