企業のマーケティング活動を支援するAIを開発・提供するAppier Group(エイピアグループ)が急速に業績を伸ばしている。同社は2012年に台湾で創業し、グループの管理機能を東京に置き、東証プライムに上場している。22年12月期の売上高は前年比53%増となる194億円で、このうち北東アジア(日本・韓国)向けの売り上げが約3分の2を占める。
主なユーザー企業はEコマースや、デジタルコンテンツ・動画配信などのオンラインサービスを営むB2C企業。主力製品は、Webサイトやモバイルアプリを通じてサービスにアクセスしてきたユーザーの価値をリアルタイムに予測し、最適なメッセージや広告を表示させるマッチングAIの「CrossX」で、このほか、顧客の行動を予測したり、商品購入を迷っていると考えられる顧客だけにインセンティブを提供したりといった、さまざまなAIエンジンを用意し、売り上げや収益性を最大化する。
橘浩二 ヘッドオブジャパン
国内事業の代表を務める橘浩二・ヘッドオブジャパンは、商品の推薦やクーポンの提供といった機能を持つEC支援ソリューションは他社にもあるが、「その多くはルールベースの製品で、どういう条件の顧客に対し何を提供するか、マーケティング担当者が考えて設定しなければならない」と指摘。顧客の関心や要求の細分化が進む昨今「人間の無限のパターンに手作業で対応するには限界がある」ため、マーケティング施策を自動化できるAIの活用は今や必須と説明する。
主に大手企業をターゲットとしており、現在は直販中心で販売を行っているが、国内では広告代理店を通じて提供するケースもあるという。また、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)製品の「AIRIS」は、複数の異なる形式の顧客情報の統合にも適しており、データベース統合に悩みを抱えるITベンダーからの引き合いも発生しているという。
(日高 彰)