採用管理システム「sonar ATS(ソナーエーティーエス)」を開発するThinkings(シンキングス)は、AIを積極的に取り入れてユーザー企業数を伸ばしている。入社選考を支援するAIオプションサービス「sonar AI」を投入するとともに、AIを活用した採用業務の新しいコンセプト「採用3.0」を打ち出して販売に力を入れた結果、sonar ATSの納入企業数は2024年1月時点で1800社余りに達し、直近1年で約500社増えた。
Thinkings 森田 徹 執行役員
sonar AIは23年4月に提供を開始した。学生の履修履歴やエントリーシートの記述内容、適性検査結果などのデータを読み込み合格可能性の高い順に並べる機能などを備える。森田徹・執行役員は「採用担当者が手作業で振り分けていたのを自動化することで、時間的負担を3~4割削減できる」と語る。採用担当者が異動してもAIが一定の採用基準を保つことで属人性を軽減するとともに、ベテランの採用担当者が合否判定の境界部分に位置する人材により多くの時間を割いて厳密に選考できるようになる。
同社では入社希望者と採用担当者とのやりとりが紙からWebに移行した事象を「採用1.0」、スマートフォンの登場を「採用2.0」、AIの本格導入を「採用3.0」と定義する。sonar AIのAIエンジンはエクサウィザーズが開発している「exaBase(エクサベース)」とAPIで接続し、パラメーターの設定によってユーザー企業の経営戦略に適合する人材を効率よくマッチングできる。
エクサウィザーズ 上馬場誠 グループリーダー
また、中途採用に関して、エクサウィザーズの上馬場誠・exaBase事業部グループリーダーは「経営方針や企業文化といった全社共通の指針をAIに学習させることで、採用後の定着率や企業文化への適応率の向上が期待できる」と話す。
(安藤章司)