サプライチェーン管理ソフト開発を手掛けるカナダKinaxis(キナクシス)日本法人のビジネスパートナー数が、ここ3年で10社ほど増えて約30社となった。新規でパートナーになったSIerは、NTTデータインフォメーションテクノロジーや京葉情報システム、コベルコシステムなどで、金子敏也社長は「実装力のあるSIerが増えたことで、サプライチェーンの大規模なシステム刷新プロジェクトの遂行能力が一段と高まった」と話す。
金子敏也 社長
コロナ禍や紛争、半導体不足などに起因したグローバル規模の供給網に大きな乱れを経験し、より高度なサプライチェーン管理システムの刷新機運が高まっている。これに伴うシステム構築需要が増えたことから、システムの実装力に長けたSIパートナーが増えた。日本法人の従業員数もこの3年で50人から70人へと増強しているが、大型プロジェクトも増えていることからパートナーの協力は欠かせない存在となっている。
製品面では海上運賃の価格動向や天候予測の情報、二酸化炭素の排出量などの情報を取り込んで、物流の最適化を総合的に判断できるよう支援機能を強化。また、半導体不足の経験を生かして、「限られた部材で利益を最大化できる生産計画の立案支援」(金子社長)の機能も拡充している。今後は生成AIを活用して操作手順をユーザーに教えるといった機能も追加していく予定。
キナクシスグループ全体の2023年12月期の連結売上高は、前期比16%増の4億2600万ドル(約630億円)と大きく伸びた。直近のグローバルの顧客数は三百数十社で、うち国内は1割程度を占める。
国内パートナーのうちコンサルティング会社などを除いた15社がシステム実装に必要なキナクシスの認定資格を取得しており、認定技術者数は90人近くに達している。向こう3年で認定資格を取得するSIerを「2倍の30社、認定技術者の数は3倍余りの300人に増やしていく」(金子社長)ことを目標を掲げる。実装力を高めることで顧客数を増やし、国内ビジネスの伸長につなげていく方針だ。
(安藤章司)