ソフトウェアのテストソリューションを提供する米Tricentis(トライセンティス)は4月24日、記者説明会を開いた。基幹業務システムの刷新などで国内での需要が高まるとして新たに日本法人を設立。AIによるテスト自動化の強みを訴求し、今後5年間で150億円の売り上げ目標を設定、国内企業のDXを支援していくとの考えを示した。
同社は2007年創業で、AIを活用したソフトウェアなどのテスト自動化ソリューションを提供している。独SAP(エスエーピー)とグローバルパートナーシップを締結し、グローバルで約3000社の顧客を抱える。23年にはSAPジャパンとも提携、国内企業でも採用が増えており、日本法人を24年2月に開設した。会見でイアン・スチュワード・CRO(最高収益責任者)は、日本はアジアの中でも成長の期待が大きい市場だとして「日本に積極的に投資し、ビジネスを拡大していきたい」と述べた。
同社製品は、ノーコードでのテストケースの作成から実行、本番移行後の保守まで継続した利用が可能で、データ移行も自動化している。国内の事例として、伊藤忠商事が25年間使用したSAPのERPから「S/4 HANA Cloud」へ移行した際の支援を紹介。テスト自動化によって実行時間を38%短縮、工数を65%削減したという。
国内では、経済産業省が、既存システムの老朽化を放置すると、25年以降に競争力が大きく低下することを「2025年の崖」として警鐘を鳴らし、企業にDXの推進を呼びかけている。基幹システムへの採用が多いSAP製品の一部バージョンが25年末に保守期限を迎えることもあり、最新製品などへの移行を早急に進めることが課題になっている。
Tricentis Japan 成塚 歩 代表執行役
日本法人Tricentis Japanの成塚歩・代表執行役は、「2025年の崖」問題もあり、国内でシステム刷新の需要は非常に高まっているとして「IT人材の不足が顕著な中、テスト自動化はニーズが高い」と説明。パートナー網を今後拡大する方針を示し「グローバルのパートナーとビジネスを進めつつ、国内でSAPの構築に強いパートナーとDX推進に貢献していきたい」と意気込んだ。
(堀 茜)