日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)は7月18日、都内で報道向けの事業戦略説明会を開き、2024年4月に就任したサティシュ・ティアガラジャン社長が26年度に国内売上高10億米ドル(約1600億円)を目指し、国内ITサービス企業のトップ20に入る目標を示した。顧客に対してデジタル技術による「成長と変革」「コスト最適化」の2軸で価値提供する「ツインエンジン戦略」を推進し、国内の主要産業である製造業をターゲットとして、IoTやデジタルエンジニアリングのビジネスなどで飛躍を図る考えだ。
サティシュ・ティアガラジャン 社長
官報の決算公告によると、24年3月期の同社の売上高は935億8500万円。ティアガラジャン社長は「日本TCSの現在の成長率は10~15%で、このまま成長を続ければ9億ドルまでは達成できるが、1億ドルのギャップがある」と指摘。その差を埋めるため、特にデジタルによるコスト削減・効率化の提案が重要とした。製造業については、ハイテク産業や自動車産業を中心に、デジタルツインやスマート工場などの提供に注力するとした。
IoTとデジタルエンジニアリング以外では、AI・クラウド、セキュリティー分野を注力領域とし、グローバル展開する日本企業や、国内企業のIT子会社への直接的なサービス提供のほか、ハイパースケーラーとのパートナーシップによるビジネスも推進する。ティアガラジャン社長は「ツインエンジン戦略は今の日本の顧客が必要としているものだ」と述べた。
目標達成に向けては「雇用市場における潜在的な課題がある」として、人材獲得がかぎになると指摘。26年度までに現在約1万500人の社員数を1万6000人にまで増やす方針で、若年層の採用を促進し、現状24%の20代従業員の比率を35%まで伸ばす計画だ。
(藤岡 堯)