Yeny(エニィ)は、娯楽やスポーツなどのファンコミュニティーを運営する事業者に焦点を当てた前払い決済サービス「PayBlend」のビジネスに注力している。事業者が運営するスマートフォンのアプリに、前払い式のVISAカードの決済機能を組み込んで「事業者が商品やサービスの提供から決済まで一気通貫で運営できるよう支援する」(Yenyの竹谷直彦社長)考えだ。
Yeny 竹谷直彦 社長
Yenyはこれまで自身が主体となって前払い式VISAカード「ultra payカード」を発行していたが、今年2月にPayBlendのサービス名で事業者のビジネスに決済機能を組み込むエンベデッド・ファイナンス事業に進出。サッカークラブのファン向けのスマホアプリに前払い式VISAカードの機能を組み込み、物販やコンテンツ販売の決済に活用してもらい実績を積み上げてきた。
TIS 津守 諭 事業部長
親会社のTISは決済基盤の構築に強いSIerで、決済関連ビジネスの発展の方向性の一つとして「ユーザー企業のビジネスに決済機能を組み込むエンベデッド・ファイナンスに注力する」(TISの津守諭・ペイメントサービス事業部事業部長)としており、Yenyはその先駆けの役割を担う。
同社が主なターゲットとしている領域はゲームへの課金やVTuberへの“投げ銭”、サッカーのファンクラブの物販などで、未成年でも決済できるよう前払い式を採用。チャージは100円単位で可能で直近の累計インストール件数は130万件余り。24歳以下のユーザーが全体の半分近くを占有し、オンラインでの利用が全体の97%を占める。
PayBlend事業を拡大させていくに当たり10月23日付で旧ULTRAからYenyに社名を変更。Yen(円=お金)を誰でも、いつでも、何にでも使える意味合いのanyと組み合わせた。TISのデジタル決済プラットフォームPAYCIERGEと密に連携したエンベデッド・ファイナンス事業を本格化させることで、累計インストール件数1000万件超を視野にビジネスを伸ばす。
(安藤章司)