顧客データ基盤(CDP)開発のトレジャーデータは、ユーザー企業の基幹システムとCDPを連携させたり、複数の顧客データをCDPに統合させたりする大規模SIを伴う案件が増えていることを明らかにした。基幹システム連携や再構築を強みとするSIerとの協業案件が増えており、NECの「BluStellar」や富士通の「Fujitsu Uvance」といった「先進的なデジタル技術によるユーザー企業の業務変革を強く意識したソリューション体系の顧客接点の部分で、当社CDPと連携するケースが増えている」(正木大輔・執行役員/ヘッド・オブ・パートナーアライアンス)と、SIパートナーとの連携加速に手応えを感じている。
正木大輔 執行役員
トレジャーデータの直近の国内販売パートナー数は50社程度で、新規案件の半分ほどは販売パートナー経由での売り上げが占める。販売パートナーの内訳は、デジタルマーケティングに強みを持つ広告代理店系と、基幹システム構築に強みを持つSIer系の大きく二つに分かれ、「デジタルマーケティングやコンタクトセンターの“鉄板需要”が間接販売の中心を占めていたが、近年では基幹システムと深く連携させるSI案件の比率が高まっている」(同)と、より顧客の基幹業務に近いところにCDPが活用される傾向が強まっているという。
この背景には蓄積した顧客データを確実に売り上げや利益に結びつけたいというユーザー企業の目的意識の変化や、データ分析基盤を納入した後も継続してサポートし、ユーザー企業の業容拡大に役立たせたいとするSIerのデジタル変革遂行に対するこだわり意識の高まりが挙げられる。「基幹システムに蓄積したデータを活用するのにCDPは大いに役立つし、近年の生成AIやAIエージェントのデータ参照先としてCDPを使うケースも増える」(同)とみている。
トレジャーデータでは、CDPと連携する生成AIフレームワーク「Treasure Data AI Framework」を2024年秋に投入し、SIerやユーザー企業が独自のAIエージェントなどを開発できるようにした。昨年11月には電通デジタルが自社の対話型AIチャットをトレジャーデータのCDPと連携させている。正木執行役員は「ビジネスパートナーが開発したAIアプリケーションと当社CDPの連携を促進していく」とし、各社が開発する生成AIやAIエージェントとのデータ基盤としての活用を積極的に働きかけていく。
25年3月期の販売パートナー経由の新規案件数は前期比6割増を見込んでいる。
(安藤章司)