NTT西日本グループでITソリューション事業を手掛けるNTTビジネスソリューションズは、上水道の水漏れや劣化診断などを体系化した「水道DX」の受注を伸ばしている。サービス開始から1年余りで西日本地区の自治体を中心に営業活動を展開したところ、10件余りの受注を獲得した。「今後も納入自治体数を増やしていく」(バリューデザイン部ソーシャルイノベーション部門社会基盤ビジネス担当の濱田哲男・課長)と手応えを感じている。
濱田哲男 課長
水道DXは、▽人工衛星から発するマイクロ波を使って地中の水漏れを検知▽データ分析による水道管の劣化診断▽ドローンを使った水道施設の点検▽電子式水道メーターの自動検針システムを利用した漏水・逆流の検知―の四つを柱として体系化したもので、水道事業者の需要や予算に合わせて各サービスを組み合わせて提供している。
人工衛星を使った水漏れ検知は、イスラエルAsterra(アステラ)が開発したサービスを活用し、地中3メートルの範囲で、漏水した上水や雨水、下水、海水を判別する。データ分析による劣化診断は米FRACTA(フラクタ)の技術を採用。同社は水道管の劣化状況の可視化技術を業界に先駆けて確立し、国内においても全長約74万キロメートルある水道管の1割余りのデータを収集している。「水道管の敷設年数や土壌、交通、地震などのデータ蓄積に伴い、分析精度も高まる」(同)という。ドローンは関連会社のジャパン・インフラ・ウェイマーク、自動検針はNTTテレコンのサービスを取り入れた。
水道事業を巡っては、老朽化や自治体の職員数の減少に伴う人手不足といった課題が深刻化している。このためインフラ維持の省力化、自動化に役立つサービスを引き続き拡充させていくとともに、下水道への対応も検討していく。
(安藤章司)