横河電機の子会社で、製造業向けDX支援コンサルティングを手掛ける横河デジタルは、カーボンフットプリントの計測ソリューション「OpreX Carbon Footprint Tracer」の拡販に注力している。製造現場のデータとERPのデータを連携することでより実態に即した温室効果ガス(GHG)排出量の計測ができるのが特徴で、第三者認証に対応できる製品として自動車や半導体メーカー向けに訴求する。
同社のカーボンフットプリント測定製品は2024年2月にリリース。開発にあたって、親会社・横河電機の製品である差圧伝送器や半導体チップを使用して検証を実施した。独SAP(エスエーピー)のGHG排出量を可視化できるソリューション「SAP Sustainability Footprint Management」を取り込み、「SAP S/4HANA」など企業が採用しているERPからマスターデータやトランザクションデータを連携できる。
OpreX Carbon Footprint Tracerは、現場の実態を反映するために工場内の製造データをマニュアルで補うことで、より精緻な数値を算出できるのが強みだという。同社では、排出量の内訳を明確化することで、GHG削減策を実データに基づいて提言するコンサルティングサービスを企業向けに展開している。
鹿野方俊プリンシパルコンサルタント(左)と小泉清一パートナー
カーボンフットプリントを巡っては、欧州が先行して企業向けの法規制を進めており、日本企業も欧州向けに輸出をしている企業を中心にGHG排出量を明確化する対応が求められている。また、自動車や半導体業界ではグローバルで、カーボンフットプリントの開示が標準となりつつあり、サプライチェーン全体で先行して対応が必要になるとみている。コンサルティング事業本部SXコンサルティング部サステナコンサルGr.の鹿野方俊・プリンシパルコンサルタントは「開示が当たり前になってくれば、その数値が第三者認証を取っているかが差別化要素になる」として、自社製品の優位性をアピールする。
販売にあたって、企業のERPを構築しているSIerやコンサルティング会社をパートナーとして想定。DX/ITコンサルティング事業本部SXコンサルティング部の小泉清一・パートナーは、「当社が顧客に想定する大企業はSAPのERPを採用しているケースが多く、SAPをサポートしているSIerとタッグを組むことでデータ連携などがスムーズにできる」と述べ、カーボンフットプリント測定製品を拡販するパートナーを拡大していく考えを示した。(堀 茜)