クリエーションラインは、成果報酬型のSIビジネスの割合を今後3年で売上高全体の3割程度に増やしていく。▽事業の成功の度合いに応じて売り上げの一部を報酬として受け取る▽経営指標を設定し、達成したら報酬を受け取る▽スタートアップ企業の場合は株式を成果報酬の対価として受け取るーの三つの類型を想定している。足元の成果報酬型SIビジネスの割合は1割にとどまっているが、「成果報酬型を増やし、ユーザー企業のビジネスにより深くコミットする」(安田忠弘CEO)ことでビジネスを伸ばす考え。
安田忠弘 CEO
成果報酬型のSIビジネスに大きくかじを切る背景として、AI技術の急速な進歩が挙げられる。同社はシステム開発にAIを積極的に活用する「AI駆動開発」を実践しており、「AIの目覚ましい技術進展によって、毎月、毎週のように生産効率が向上している」(同)という。生産革新によって技術者ができることが増え、ユーザー企業のビジネスの成功により深くコミットし、より多くのリスクを負う成果報酬型の割合を増やせるタイミングがきたと判断した。ビジネスの幅が広がることで、従業員数も現在の160人から向こう3年で200人規模へと拡充していく。
直近では2025年7月に三井住友フィナンシャルグループで中堅・中小企業のデジタル化支援を手掛けるプラリタウンと共創し、創出した市場価値に応じて報酬を受ける成果報酬型の契約を結んだと発表。続く11月にはスタートアップ企業向けに株式を対価にAI駆動開発のノウハウと開発リソースを提供する成果報酬モデル「Co-Creation Startup(COSTA)」を始めた。
COSTAモデルでは、すでにさまざまな業種・業態のスタートアップ企業10社余りと商談を始めているという。スタートアップ企業はシステム開発の費用を最小限にとどめられ、クリエーションラインは事業が軌道に乗ったタイミングで株式を売却することで利益を得る。必要に応じて、クリエーションライン側からCTO(最高技術責任者)を担う役員を送り込むことも検討する。「当社の技術者が企業経営を経験することで、これまでなかったスキルパスやスキルアップにつながる」(同)と、事業を成功させることで得られる新しい報酬だけでなく、人材育成にも役立つと見ている。
クリエーションラインは大企業向けのアジャイル開発を強みとして成長してきたSIer。アジャイル開発の特性として作業を請け負う準委任契約の割合が多く、また、大企業はすでにビジネスモデルの完成度が高く、成果報酬型がなじまない課題もあった。そこで大企業の子会社で新規事業を立ち上げるケースや、スタートアップ企業に着目して成果報酬型のビジネスを伸ばす。
(安藤章司)