変わるかシステム入札

<変わるかシステム入札 第二章>自治体情報政策研究所(下)

2002/08/05 16:18

週刊BCN 2002年08月05日vol.952掲載

 e-Japan計画のもと、地方自治体にもIT導入機運が高まっている。しかし、自治体の情報化について研究する自治体情報政策研究所の黒田充代表は、「中央主導で大規模ITシステムが導入されることは、地元業者にとってはメリットどころか、マイナス影響を及ぼすこともある」と指摘する。

弊害多い中央主導の事業

 ――住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が話題になっています。

 黒田
 本来なら、地方自治が進むべきなのに、中央の集中管理体制が逆に強まっているように思います。住基ネットも各自治体に参加、不参加の選択権がある方が望ましいのではないでしょうか。

 ――自治体にとっては、住基ネット関連の予算は魅力なのでは。

 黒田
 例えば、住基ネット導入により、住民票が入手しやすくなるという話があります。しかし、高齢者が住む過疎の村では住民票を取得する機会は非常に少ない。わざわざ住基ネットを導入するよりも、その分の予算で役所の人員を増やし、「住民票が欲しいという電話があったらその家まで職員が届けに行きます」というサービスの方が利便性は高い。

 ――e-Japan重点計画では、地場のITベンダーの育成が掲げられています。

 黒田
 それに逆行する結果が生まれがちです。

例えば、A市の総務システムとして交通費精算、消耗品見積もり・受発注といった複数のアプリケーションを統合したシステムを作るとなると、大手ベンダーしか担当できません。しかし交通費精算といった個別アプリケーションであれば地場企業でも十分に担当できる。

 ――確かに、各アプリケーションは連携を前提に設計すれば、無理に大規模システムにする必要はないかもしれませんね。

 黒田
 IT講習が無料で行われたとき、私のところに地場の事業者さんから嘆きの声がたくさん寄せられました。地元の業者には講習依頼はないので収入に結びつかない。しかも、IT学習は無料という認識が広がった結果、地元業者のIT教室のお客さんが減って、売り上げにマイナス影響をもたらした例があります。

中央主導でのIT導入が大手ベンダー偏重となり、地元業者育成につながらない。これは、地方自治体にとっても税収を得る機会を失うことになる。決してプラスにはならないのです。

(三浦優子)
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