今年4月より実施されるIT投資減税はいろいろな意味で、税制として画期的なものといえる。まずはその減税規模の大きいこと(財務省によればIT投資と研究開発減税で総額1兆円を超える)、手続きが簡単なこと、範囲が広いこと、そして何より、初めてソフトウェアの一般的な投資が減税対象になることである。(日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA) 税務委員会委員長 税理士 根岸邦彦(監修))

 ハイテクに関わる税制の問題点に、法令の規定の表現が抽象的で実際のケースにそれを当てはめようとしても、適用できるか直ちに判定しづらいことがある。

 今回の税制も、専門家の解説を見るとほとんどが法令の規定のオウム返しであって、個別のケースの判定に役立つものは少ない。たとえばプリンタがIT投資減税の対象となるには、「電子計算機と同時に設置する付属の入出力装置」でなければならないが、ネットワークカードを搭載してLANに接続して使うプリンタが「付属の入出力装置」といえるかどうかの説明などは、どこにも書かれていない。

 そこで、今回はIT業界の立場から見た減税制度のガイドということで、具体的なモデル事例をもとに税制の適用関係を検討する企画を立ててみた。この解説により、個別のシステム提案やIT機器の販売の際に、今回の減税制度がどの程度適用になるかの目安をつけてもらいたい。

I.IT投資減税の概要

 IT関連の事業者として、今回の税制の概要について頭に入れておくべきことは次のような事柄である。

(1)いつから
 適用期間の問題である。当面2つに分けて考える必要がある。
 ・今年4月1日以降取得のIT資産
 ・今年1月から3月までに取得した資産(これは翌年度に加算して適用)

(2)何が対象か
 IT投資資産の規定で、政令の「表」に記載されている。一般的なものは次のようなものである。
 ・メモリ256MB以上の電子計算機と周辺機器、ルータ
 ・デジタル複写機、高速ファクシミリ
 あとは、ICカード、デジタル放送設備、IP電話など特殊業界向けの機器である。

(3)価額の適用範囲
 自己取得とリースで限度が違い、年間の購入総額で決まる。資本金3億円以下を中小企業とし、優遇がある。
 一般企業ではハード/ソフトとも600万円、中小企業はハード140万円、ソフト70万円以上である(リースは金利が含まれるのでそれぞれ、700万円、200万円、100万円)。

(4)手続きはどのようにするのか
 特別な手続きはいらず、税務申告書に所定の書式を添付するだけである。

II.各種のIT投資形態別の適用対象

 IT投資はあらゆるビジネスで必要な投資と言ってよいほど一般化しているが、その中身はハード、ソフト、サービスに分けられると思う。減税はこのうちハードとソフトのみを対象としている。

 次回から、具体的なこれらのケースについて、少額資産の制度により損金とした方が得か否か、減税の方式は特別償却と税額控除のどちらが得か、「ソフトウェア」にウェブやe-コマースのシステムは含まれるのかなどを検討していく。