“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>9.日本ビジネスコンピューター(下)

2003/06/09 20:43

週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載

 日本ビジネスコンピューター(JBCC、石黒和義社長)のネットワーク事業の売り上げは続落してきたが、SMAC(スマック)で反転攻勢を狙う。

SMACをベースに付加価値サービスを

 平松義英・ネットワーク事業部ネットワーク計画管理主幹は、「事業部として最低100億円のボリュームは必要。来年度(2005年3月期)は増収増益に転じさせる」と、ビジネスモデルの再構築に取り組む。この中核的役割を担うのがSMACである。

 SMACの開設は99年8月。当初はネットワークやサーバーの遠隔監視やヘルプデスクなどの仕事が中心だった。その後、01年度に始めたゲートウェイ型ウイルス駆除サービスが大ヒット。50ユーザーで月額1万円という値頃感もあり、累計で300社から受注を獲得した。

 01年度の下期には、SMAC関連ビジネスで単月黒字化を達成し、昨年度(03年3月期)で累積損失も解消した。顧客の通信網を監視し、「ウイルスを入れません、出しません」を合い言葉にしたウイルス駆除サービスに手応えを感じた同社では、以来、セキュリティサービスに力を入れる。

 「ファイアウォールマネジメントパック」サービスを5月末から始めたのに続き、「侵入検知マネージメントパック」、「VPN監視サービスパック」(いずれも仮称)など、“パックサービス”を続々投入する。

 これまで手掛けてきたウイルス駆除サービスなどは、基本的に他社パッケージ製品をベースにしたサービスだった。これに対し、今回の「パックサービス」は、独自のサービスとして販売するため、付加価値をつけやすいという利点がある。

 今後は、JBCCが本来得意としている基幹業務システムのネットワークサービスもSMACをベースに構築する計画だ。同社は日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のトップディーラーとして、IBM製「iシリーズ」(旧AS/400)や「pシリーズ」(UNIXサーバー)を使う顧客を数多くもつ。

 平松主幹は、「これらの顧客向けに、SMACを活用した新しいネットワークサービスの拡充に力を入れる。当社が積み上げてきた業務スキルを生かしたサービスは、他社との差別化につながる。また、顧客の側でも、こうした基幹業務系のシステムにおけるネットワークサービスの需要は高いはず」と予測する。

 今年度は、SMACをベースとした付加価値がある新規サービスを次々と立ち上げ、同分野での売上倍増を図る。(安藤章司)
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