“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>11.日本システムディベロップメント

2003/06/30 20:43

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

 ソフト開発の日本システムディベロップメント(小岸勲社長)は、パッケージソフトを基盤とした営業力の強化を進める。

新人約100人を投入

 同社は年商367億円(2003年3月期)のうち、ソフト開発など情報サービスが約9割を占める。だが、ソフト開発の受注が伸び悩む傾向にあるため、具体的な製品を携えた提案型営業の強化で収益改善を図る。

 今年4月、「ソリューション本部」を新設した。パッケージソフトを中心とした提案・コンサルティング型営業の専門部署だ。この部門に新人を中心に約100人割り当てた。

 同社が今年4月に採用した人員は約300人。昨年4月より約100人多い。このうち営業センスに長けた新人約100人をソリューション本部へ配属した。同本部では、従来型のカスタムメイドの受託ソフトではなく、自分たちで新しい情報システムを提案し、販売する。

 増田宏韶・常務取締役は、「新人を中心としたソリューション本部は、恐らく2-3年は迷走するだろう。しかし、失敗から学ばなければならないこともある。若手ばかりなので、数億円の予算を投じて教育し、スキルを向上させる。いきなりSAPなど大型ERPパッケージの導入コンサルティングは無理でも、ある程度の営業成績や新しいビジネスモデルの発案など期待できる分野は多い」と話す。

 「SE(システムエンジニア)を20年もやると、どうしても『業務がこう改善します』など、ミクロの視点から営業に入ってしまいがち。職業柄やむを得ないところはある。この点、今回は新人約100人をゼロから教育し、顧客企業先の経営幹部に直接提案ができる営業のプロを育成する」と話す。

 同社では、SAPやバーンなど、すでに約20種類のパッケージソフトの販売を始めている。今年度は、さらに取り扱うパッケージの数を倍増させる。「最終的なゴールは、自社開発のパッケージソフトの完成度を高め、輸出もしたいと考えている。だが、当面は海外のパッケージと合わせてシステム全体を組み上げるビジネスを基軸に据える」考え。

 今年5月からは、認証基盤サービスの米アイデントラスとの合弁会社、日本アイデントラスも本格的に立ち上がった。「単なる販売代理店ではなく、ここ数年はこうした海外ベンダーのパートナーとして認められるようになった。今後も積極的な提携を通じて、品揃えや提案力の強化を進める」と意気盛んだ。(安藤章司)
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