多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>12.チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ

2003/10/27 20:43

週刊BCN 2003年10月27日vol.1012掲載

 情報セキュリティベンダーの戦略の主流の1つに、アンチウイルスやファイアウォール、スパム(迷惑メール)対策など複数のセキュリティ機能を盛り込んだ統合製品ビジネスがある。これは、シマンテックや日本ネットワークアソシエイツ(NAC)などの総合セキュリティベンダーだけではない。インターネットセキュリティシステムズ(ISS)やソニックウォールなど、1つのセキュリティ分野に特化してビジネス展開してきたベンダーでも、企業買収などにより他分野にも進出し統合製品化を図る動きが出ている。従来提供していた分野以外の機能も包含するアプライアンス(使いやすさに主眼を置き、機能を最適化した専用装置)などの製品開発に力を入れている。

ファイアウォールに特化

■“統合戦略“と一線を画す

 これらの企業の戦略に対し、一線を画すのが、ファイアウォール/VPN(仮想私設専用網)ベンダーであるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズだ。「これまで培った分野をさらに強化する」(卯城大士技術部長)と、ファイアウォール/VPN市場に今後もこだわる考えだ。卯城部長は、「企業買収などで、自社に複数の機能を持ち込み統合しても、アーキテクチャの違いから、それぞれの機能の整合性をとるのは簡単なことではない。統合することは混在するということでもあり、効率的でない部分が多い」と指摘する。あくまでファイアウォール/VPN市場に特化し、この市場でのシェア拡大に力を入れていく方針。

 同社は11月から販売開始する新製品で、顧客ターゲットの拡大に乗り出す。同社の顧客は社員500人以上の大企業が大半を占める。だが、「ファイアウォールは、大企業では需要一巡の傾向がみられる」(卯城部長)ことから、中小企業ユーザー向けは、シェア拡大のためには重要なマーケットとなる。新製品2モデルは、企業の支社・支店レベルや中小企業向けのファイアウォール製品で、これまでのソフトベースから、同社としては初めてアプライアンスでの提供となる。導入およびメンテナンスが容易で、システム管理者が手薄な規模の小さいユーザー向けとした。とくに、中小企業向けモデルでは、零細企業やSOHOも視野に入れ、ライセンスは5ユーザーからに設定し価格もエントリーモデルであれば4万8000円と抑えた。(木村剛士)
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